JIMTEF災害医療研修の受講

はり灸レンジャーの森川です。

2025年11月22日・23日の二日間、JICA関西で実施された JIMTEF(国際医療技術財団)の災害医療研修のアドバンスコースを受講しました。

JIMTEF研修

 

ベーシックコースはオンラインで受講し、アドバンスコースは二日間の会場研修になります。

今回のアドバンスコースは、発災から急性期の対応、避難所運営ゲーム(HUG)、避難所地域アセスメント、災害食の実際、本部運営実習といったプログラムで、主に「急性期」の災害医療の対応を学びます。

はり灸レンジャーは、災害からしばらく経っての「慢性期」の活動がメインです。
発災直後や急性期に被災地に入ることは少ないですが、今後起こり得る大規模災害時や、近隣での災害となれば、そうも言ってられません。

今回改めて感じたのが、その「急性期」対応の大変さです。

実際の災害を想定して、避難所の立ち上げから運営をしていくゲーム(HUG)や、その避難所の状況を評価したり、保険医療福祉調整本部を運営してみたり…

想定とは言え、その各方面の大変さを切に感じることができました。

 

鍼灸師による災害支援の一つに、「支援者支援」があります。

被災者を支援する人を、支援する

災害急性期の対応で疲弊される医療福祉職、行政職員、現地団体職員など、支援したい気持ちがさらに強まりました。

また、今回は様々な医療福祉職の方々と同じ班になって研修をしました。
(私の班には、DMATの先生、栄養士、公認心理師、PT、ST、柔整師、ケアマネージャーの先生方が揃っていました。)

それぞれの職種の役割や立場を知ることもでき、それもまた良い機会となりました。

 

災害医療の「大変さ」を知るだけでなく、「楽しみ」もありました。

その一つが「災害食の実際」です。

非常食をそのままいただく経験はこれまでもありましたが、それをいかに美味しく、そして栄養も考えていただくためにはどうするか?

日本栄養士会の災害支援チーム(JDA-DAT)が中心となって、多くの企業や団体から提供された食品を実際に調理し、試食することもできました。

災害非常食の試食

 

盛りが美しくありませんが、野菜ジュースで戻したアルファ米や、発熱剤を用いてビニル袋内で調理された副菜など、美味しくいただきました。

長期保存パンもとても美味しく、非常時にこんなパンが食べられたら、元気が出るだろうなと思いました。

 

今回の研修でたくさんの交流と経験をさせていただきました。

「知っている」と「経験がある」では、大きな違いです。

災害時には、イレギュラーなこと、思い通りにいかないことが、たくさんあります。

自分で考えた経験があると、そんなときにも応用が効きます。

いろいろ試して、時には失敗して、また改善していく、それが大切なことだと改めて感じました。

 

その平常時の積み重ねが、災害時にも役立ってくれると信じております。

 

第74回全日本鍼灸学会学術大会@名古屋

2025年5月30日(金)~6月1日(日)第74回全日本鍼灸学会学術大会名古屋大会が開催され、はり灸レンジャーのメンバーも参加しました。

第74回全日本鍼灸学会学術大会@名古屋

 

今大会のテーマは「女性のみかたⅡ―フェムテックによる女性のWell-beingに貢献する鍼灸―」ということで、female(女性)、technology(技術)、Well-being(健康)を追求した学術大会でした。

なお、今大会では、事後参加登録によるアーカイブ配信も可能です。
(一般演題やポスター発表の録画は無いようです。)
詳細は下記のリンクからご確認ください。

■参加登録申込期限:2025年7月22日(火)23:59
■アーカイブ配信期間:2025年6月23日(月)~7月22日(火)※予定

 

はり灸レンジャーからも、昨年の能登半島地震と豪雨災害の支援について報告させて頂きました。
ポスター発表では、今回のテーマである「女性」についても取り上げました。
被災地では女性の受療者の割合が多いです。
被災者の安心、リスク管理を考える上でも、もっと多くの女性鍼灸師の活躍が望まれます。

発表時には、他の災害支援団体や石川県の先生、災害支援に関心のある学生や先生にもご聴講頂き、発表が終わってからも多くの質問を頂きました。
(座長もDSAM(災害支援鍼灸マッサージ師合同委員会)の先生でした!)

質疑応答では、
・鍼灸により効果の見られた疾患は?
・どんなローラー鍼か?その使い方の指導方法は?
・細く長くの活動資金は?
・活動場所は避難所 or 仮設団地?
・被災地で活動する為には?
・はり灸レンジャーに入る為には?
など、多くの質問がありました。
その回答は今後の発表やこちらのサイトでもご紹介していければと思います。

災害現場で、鍼灸は被災者の支えになります。
が、災害支援に関わる鍼灸師の数はまだまだ少ないです。
いざという時の為に、もっと多くの鍼灸師の先生方にも関心を持っていただければと思います。  

<補足>

Q.「被災地で鍼灸支援をする為には?」
A.「日本災害鍼灸マッサージ連絡協議会(JLCDAM)と連携してください。
 単独で入ると、被災地に迷惑をかけることがあります。」

日本災害鍼灸マッサージ連絡協議会(JLCDAM)
災害支援に関わる鍼灸マッサージ師団体の情報共有サイト
https://jlcdam.net

Q.「被災地で多い疾患は?」
A.「問診では鍼灸治療への期待として痛み(頭痛、肩こり、腰痛、膝痛)が多いですが、不眠、倦怠感、めまい感なども愁訴としてよく聞きます。」
(下記リンク内の「施術データ」に、各訪問地の受療者の男女比、年齢比、主訴、鍼灸経験を公開しています)

(ブルー 森川真二)

日本災害医学会総会・学術集会の振り返り

3月6日(木)〜8日(土)の日本災害医学会総会・学術集会記念大会の最終日、木村はJLCDAMの活動場所で鍼灸マッサージ体験のスタッフに加わりました。

初参加で右も左もわからない中、段取りをしてくださる先生の細やかなメールや、前日に参加した仲間の情報もあり、予定時刻丁度に無事辿り着きました。

一緒に活動した先生方も皆様親切で、安心して活動する事ができました。

短い時間でしたが、医療従事者、学生、ほか様々な業種の方の話を聞かせて頂きました。

各地の災害現場で活動をされた方や、被災者側の立場の方、実際に経験された方の言葉は心に響きます。

災害の多い日本ですが、この方々がいてくださる事は本当に心強いです。

災害のない事を願いつつ、有事の際には彼等の存在を心の支えに踏ん張って乗り越えたいものです。

最終日という事で、どなた様もそれぞれ帰路に着く頃でした。

北から南まで、またそれぞれの日常に戻っている頃だと思います。

新生活が始まる方も、これから益々のご活躍を応援する気持ちで関わらせて頂きました。

マッサージを受けている方が『被災地でこのように鍼灸マッサージを提供するのは必要な事だと思う』と言ってくださいました。

これまでの活動が肯定されたような気がしてとても嬉しかったです。

ご縁のあった皆様に恥じないよう今後も活動を続けていきたいです。

このような貴重な経験の場を紹介・提供して頂いた皆様に厚く御礼申し上げます。

日本災害医学会2025

 

(木村)

災害医学会名古屋大会行ってきました

先日の3月6、7、8日の3日間にわたって

ポートメッセ名古屋で開催された

日本災害医学会総会・学術集会にて、JLCDAM(日本災害鍼灸マッサージ連絡協議会)主催の、鍼灸マッサージ体験ブースの活動に参加してきました。

日本災害医学会

 

総会の参加者の多くは医師・看護師をはじめとした医療関係の方々。

マッサージさせて頂く短い時間の中でしたが、災害支援へどのように関わっているか、実際の現場派遣のお話、今回の総会発表についてなど…

ほんの少し施術させて頂く中でお聞きしたリアルなお話はどれも貴重で、鍼灸ボランティアとはまた違った世界を垣間見ることができました。

ニュースでは当たり前のように『医療スタッフが現場入りしました』なんて報道されるけど、あの段階に至るまでにどれだけの日々の下準備があるのか。

災害の経験をまとめて、分析して、色んな視点で、色んな角度で、沢山の人が考え抜いて『次』に備えている。

そんな積み重ねがあっての今なんだな、と

改めて知る事ができました。

そしてほんの少し、そんな場所に関わる機会を頂けたことに感謝の日でした。

日本災害医学会JLCDAM

 

(中村)

能登半島支援に対する助成金Ⅱ

はり灸レンジャーの活動に対して、日本財団様より「令和6年能登半島における地震・大雨被害に関わる支援活動」として助成金をいただけることになりました。

日本財団助成金

 

豪雨後の2024年11月から2025年3月までの活動が対象です。
その場限りの鍼灸施術だけではなく、希望者にはセルフケア用品を無償で配布して、被災者の方自身による健康維持をお願いしたいと思います。

私たちが支援に入っていた地域では、9月の大雨による、度重なる被災がありました。
やっとの思いで仮設住居に入居されたにも関わらず、また避難所暮らしに戻られた方もおられます。
これからの寒い冬も越えなければいけません。

被災地では、まだまだ大変な状況が続いています。
引き続き、ご支援ご協力よろしくお願い致します。

「ご寄付について」

(森川)

災害鍼灸ボランティアのセミナー講演

はり灸レンジャーの森川です。

先週末、能登支援3回目の訪問活動中、メンバーの多くが卒業した神戸東洋医療学院のOB会総会があり出席してきました。

総会に引き続き、卒業生と学生が対象の合同セミナーがあり、「鍼灸ボランティアのはじめ方」というタイトルで、はり灸レンジャーの東北、熊本、能登半島での災害支援活動についてお話しさせて頂きました。

神戸東洋医療学院OB会セミナー2024

 

はり灸レンジャーの成り立ちから、卒業生同士のつながり、被災地の様子、鍼灸でどんなことをしてきたか、ボランティアを始めるために必要なことなど。

実技も入れて欲しいということで、セミナー会場を「避難所」と見立てて、ベッドの設営から施術の様子も紹介。
実際のボランティア現場では一人で活動することが無いので、とても焦りましたが、90分間、あっという間に時間は過ぎました。

何か忘れている気がしてならなかったのですが、案の定、片付けしている時に、いくつか紹介し忘れていたものに気付きました。
(写真にも写っている、机の目の前にも置いてある、エアマットなど…)

それは慌ただしいボランティア活動中でもあることで、準備がいかに重要か、改めて学ばせて貰いました…

セミナー後に、災害支援に興味のある学生さんが声をかけてくれたり、紹介した災害支援研修を申し込んでくれたりと、早速、行動に移してくれていることが嬉しかったです。

被災地で大変な思いをされている方々にもっと支援が届くように、発信も続けていきたいと思います。

(ブルー 森川)

第73回全日本鍼灸学会学術大会@宮城

毎年、年1回、全日本鍼灸学会の学術大会があります。
今年2024年は宮城県初開催で、仙台国際センターが会場でした。

昨年の神戸大会に引き続き、13年前の東日本大震災の地ともあって、災害支援についてのプログラムも組まれていました。

 

災害支援の「現状」ということで、はり灸レンジャーの長期支援について紹介させて頂きました。

長期的な支援は、はじめから意図していたものではなく、東北の復興に時間を要したことや、現地団体や被災者の方々からの要望に応える形で、実現したものになります。

長い復興過程では、生活再建が上手くいく人と、取り残される人の格差が徐々に開いていく「鋏状(きょうじょう・はさみじょう)格差」という問題もあります。
私たちが対象としてきた支援の届きにくい人や場所では、その支援の必要性をより感じます。

そういった長期支援の必要性、今後の課題などを、お話しさせていただきました。

全日本鍼灸学会シンポジウム

 

その他、災害鍼灸の「期待」、「課題」、そして能登半島地震の支援報告など、6人の鍼灸師や医師の発表があり、その後、討論も行われました。

私は初めてのシンポジウムで緊張しましたが、座長の先生をはじめ、他の立派な先生方のお陰で、何とか大役を務めることが出来ました。

全日本鍼灸学会 シンポジウム討論

 

災害支援に携わってくれる人が少しでも増えれば良いなと思っていたら、シンポジウム後に、参加の学生から「災害支援の為に何かできることは?」という有難いメッセージも頂けて、少しは貢献できたのかなと。

私たちの活動や鍼灸のことを知って貰う為には、こういう発表も大切なことだと改めて思いました。

今後も機会があれば発信していきたいと思います。

(ブルー 森川)

能登半島支援に対する助成

はり灸レンジャーの活動に対して、日本財団より「令和6年能登半島地震に関わる支援活動」として助成金をいただけることになりました。

日本財団助成金

 

2024年7月までに4回の能登訪問を計画しています。
その場限りの鍼灸施術だけではなく、希望者にはセルフケア用品を無償で配布して、被災者の方自身による健康維持をお願いしたいと思います。

小さなグループの小さな活動ですが、支援の届きにくい人や場所に向けて、これからの復興の一助となるように、支援を続けていきます。

引き続き、ご支援ご協力よろしくお願い致します。

ご寄付について

(森川)

日本災害医学会と能登半島支援

令和6年能登半島地震により亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

こちらのブログ記事はしばらくご無沙汰しておりました。

それはコロナ禍で現地訪問を控えていたこともありましたが、身近に大きな災害が無かったということもあります。

その間、これまでの活動をまとめて報告したり、他団体との連携や、災害支援研修へ参加したりと、今後来たる災害に備えておりました。

その一つが、今年の2月に京都で日本災害医学会学術大会への参加です。
そこでの発表の準備を進めていたところ、大きな震災が発生してしまいました。

学会の参加も躊躇しましたが、能登半島支援に携わる多くの方々の報告もあって、今現在の被災地や支援の様子も知れるということで参加しました。

日本災害医学会@京都

思っている以上に能登地震の被害は深刻です。

ある演者の方が、「当初、被害の様子が伝わってこなかったことも、この震災の深刻さを表しています」という言葉も印象的でした。

今現在も多くの方々が支援に入られていますが、復興には時間がかかりそうです。

細く長くの支援が特徴の私たち「はり灸レンジャー」も3月に現地入りすることが決まりました。

急性期が過ぎつつあるこれからの時期も、必要な支援があることでしょう。

まずは現地の支援団体と連携して、これからの活動方針を決めていきたいと思います。

今後の 活動予定活動報告 は、また随時お知らせいたします。

なお、鍼灸マッサージによる災害支援については、日本災害鍼灸マッサージ連絡協議会(JLCDAM)で集約されています。

本当に多くの人や団体が災害支援に関わられていることを、はじめて参加した災害医学会でも改めて感じました。

はり灸レンジャーもその一支援として、被災地の為にできることを考えていきたいと思います。

(森川真二)

最近の活動

こんにちは、はり灸レンジャーブルーの森川です。
随分、ご無沙汰してしまいました。

昨年からの新型コロナウィルスの感染拡大により、東北や熊本など被災地への現地訪問ができなくなっています。
次回の訪問を約束していた中での不測の事態で、残念な気持ちでいっぱいでした。

私たちメンバー一同も、それぞれの日常生活や仕事において、先の読めない状況が続きました。
昨年一年間は、被災地のことが気になりながらも、グループとしての活動はできないままでした。

そんな中、今年に入って毎月オンラインで開催されている「日本災害鍼灸マッサージ連絡協議会」の会合に参加させて頂いております。
災害時の連絡や情報共有の為に、全国の災害支援に関わる鍼灸マッサージ師の各団体で結成された会になります。

その会合をきっかけに、グループ内でもリモート会議が実施されるようになりました。
昨年中も被災地のニュースや現地団体とのやりとりは、連絡網を使ってシェアされていましたが、やはり顔を合わせての話し合いが大事と感じます。

そして一昨晩は、その連絡協議会の方で、私たち「はり灸レンジャー」の活動紹介をさせて頂きました。
私たちの団体の設立経緯から、活動の特徴、今後の課題などもお話しさせて頂きました。

すると、私たちが当たり前のように出来ていたことが、そうでもなかったり、逆に出来ていないこともわかるようになります。
自分たちのことは、回りからの方が、よく見えることもあるようです。

連絡協議会には、いろんな立場で、鍼灸で困っている人の役に立ちたい!という思いの人が集まっています。
たくさんのご意見やご助言を頂くこともできて、毎回とても為になります。
共通するのは、災害時に限らず、「平時における取り組み」というのが、一つのキーワードに思います。

コロナ禍で出来ることは限られていますが、私たちの身の回りでも何か出来ることはないか、常にアンテナを張っておきたいと思います。
そして、コロナが落ち着いた頃に、これまでご縁のつながっている地域に、またお伺いしたいと思います。

(森川)