20年

阪神淡路大震災から20年。
今日は兵庫県の各地で追悼式が行なわれています。
皆さんがそれぞれの思いを胸に、震災当時を振り返っています。

日常生活を送っていても、町を見渡しても、震災のことを普段思うことは少なくなりました。
それは前に進めていて、いいことでもあるのでしょう。
ただ今日のこの日のように時に触れて当時を振り返ると、思い出されることは多いものです。

私もこの20年で失ったものやつらいことも多くありましたが、得られたもの、うれしいことも多くありました。
震災当時に受けたまわりの人々のやさしさも、その一つです。
今でも悲しいこと以上に、しっかり記憶に残っています。
そのときの思いは、今にも生かされています。
当たり前が当たり前でないとか、今を大事に生きるということは、東北大震災でも改めて知らされたことです。

これからもその経験と感謝の気持ちをもとに、はり灸レンジャーの活動も続けていきたいと思います。

(森川)

さくらFMに出演

はり灸レンジャーブルーの森川です。

先日の読売新聞の記事をきっかけに、またラジオ番組にも出演することになりました。

「さくらFM(西宮コミニティ放送)」の、地域で活動されている方々を紹介する「なばなネットワーク/NGO.NPOな人々」という番組です。
事前収録したものが、12/6(土)の午前10:30~11:00に、放送される予定です。
はり灸レンジャーの活動、小児鍼教室、被災地の様子などを、お話しています。

前回出演の「ラジオ関西」では電話で10分程でしたが、今回は少し長めです。
相変わらず緊張はしましたが、じっくりお話できたと思います。

ご都合の合う方はどうぞお聞きになって下さい。
ネットやスマホからも聞けるようです。

西宮さくらFM 78.7 MHz
http://sakura-fm.co.jp/
 

「鍼灸師・あマ指師のための傾聴セミナー」に参加しました

はり灸レンジャー・グレーの鈴木一成です。
11月16日、名古屋市のウインクあいちにてNPO法人鍼灸地域支援ネット主催「鍼灸師・あマ指師のための傾聴セミナー」に行ってきました。「傾聴」というのは大体の意味は知っていましたが、普段あまり馴染みはありませんでした。しかしはり灸レンジャーの活動を通じて被災地でのメンタルケアについても学ばせて頂き、その重要性を感じるところでもありました。

 「傾聴」という言葉を辞書で引くと「耳を傾けて熱心に聴くこと」と書いてありますが、カウンセリングの分野で「傾聴」はコミュニケーションスキルの一つとされています。相手の話したいことや伝えたいこと、また悩みや心の中に溜まっていることを丁寧に聴き、共感することで、相手は自分自身をより整理して理解し、良い結論や判断を導くことにつながります。そして今回のセミナーは鍼灸師・あマ指師を対象ですのでカウンセリングの手法を学ぶというよりは、施術中に患者さんが悩みや苦しみを訴えられたらどの様に対応すべきか、というものでした。

 セミナーでは講義と演習を交えながら行われました。演習では鍼灸治療中の術者と患者の会話を例に挙げられ、術者の対応を検証しました。腰痛治療で通院している患者(女性)から自分の母が末期の胃癌であることを涙ながらに告白され、術者は言葉を失い戸惑ってしまう…術者は何かアドバイスできるのか、それともしない方が良いのか、患者は話を聴いてもらうだけでも幾らかストレスは解消されるのではないか…様々ない意見が出されディスカッションされました。

 今までの自分を振り返ってみると、患者さんとの会話や対応に反省すべき点は多いと思います。患者さんが本当に伝えたいことを理解していなかったり、大切な会話を途中で切ってしまったり、一方的に勝手な解釈をしてしまったり…これからは傾聴の元の意味である「耳を傾けて熱心に聴く」ことから注意して始めてみたいと思います。

 今回のセミナーは「傾聴」のほんの入り口にすぎないと感じました。この分野はとても奥深く、様々な研究がされていると思います。今後少しずつでも勉強してはり灸レンジャーの活動や普段の臨床に活用できたら良いと思います。

体に触れて分かる事

こんにちは。はり灸ライトグリーンの坂口です。

「温故知新」のvol.6が発行されました。
今月号は、はり灸イエロー清水真奈美先生が記事を担当しています。

我々が行う反応点治療では、皮膚に触れ、はり・灸をするポイントを決めます。
しかし、それが治療の全てではありません。
清水先生そう感じる事となったエピソードが紹介されています。

温故知新は首都圏・関西の医学書取扱書店、教育機関で取り扱いがあり、無料で持ち帰る事が出来ます。
興味のある方は是非ご覧ください。
温故知新オンライン

(坂口)

鍼灸の可能性

こんにちは。はり灸ライトグリーンの坂口です。
私たち鍼灸師は治療院を開業、もしくは医療機関に勤め、そこに来院される患者さんに治療を提供しています。私もそのうちの一人です。
そうして日々の臨床に取り組む中でふと、この治療を必要としている人がどこか他にもにいるのではないか…そんな事を考えることがあります。

ところで、(とても厳しい言い方ですが)鍼灸師は世に必要とされているのでしょうか?この問いに対しては、残念ながら「イエス」と即答出来ないのが現状です。世間では「鍼灸って何?何に効果があるの?」と思う方がまだまだ多いでしょう。
では、鍼灸師を必要としている人はいるのか?これに対しては自信を持って「イエス」と言う事が出来ます。潜在的なニーズを掘り起こし、可能性を探る能力が鍼灸師には必要とされています。
今月の温故知新、はり灸レンジャーの連載記事はグリーンの吉村早也香先生が執筆しています。吉村先生が東北ボランティアの中で見つけた鍼灸の可能性とは。

温故知新は首都圏・関西の医学書取扱書店、教育機関で取り扱いがあり、無料で持ち帰る事が出来ます。
興味のある方は是非ご覧ください。

温故知新オンライン

(坂口)

連載記事に

 前回「はり灸レンジャー」の活動を特集していただいた温故知新で、引き続き、連載記事を書かせていただくことになりました。第1回目はリーダーで、はり灸レンジャーレッドの舟橋さんが担当です。(タイトルカラーもレッドです。)
 [はり灸レンジャー結成前夜] と題して、鍼灸ボランティアをはじめたきっかけなどを綴っています。

連載記事第1回

 次号以降も、各メンバーによる記事を順に載せていただく予定です。ご興味のある方は是非!

 温故知新オンライン http://onko-chishin.net/

(ブルー 森川)

月刊 「温故知新」で特集して頂きました!

こんにちわ、はり灸レンジャーブルーの森川です。

先日、このブログを見て下さったある記者の方に、はり灸レンジャーの活動を取材してもらい、冊子の特集記事として載せていただきました。

「温故知新」はり灸レンジャー特集

月刊「温故知新」といって、「治療家と治療家をめざす人のための鍼灸・手技療法専門マガジン」です。
冊子が置かれているのは、首都圏・関西の医学書取扱書店や、教育機関(鍼灸の専門学校など)です。
残念ながら一般の方の目に触れることは中々ありませんが、治療家の先生や治療家の卵の方に、被災地の現状を知っていただけたらと思います。
私たちの被災地への思いを記事にしてくださりました。

ご覧になられたい方は、出版元の方からも送っていただけるようなので、お問い合わせ下さい。

温故知新オンライン http://onko-chishin.net/
(はり灸レンジャーの特集記事が載っているのは、vol.1 です。)

「からだにいいこむ」の記者の方、いろいろご丁寧に対応していただき、ありがとうございました。

(森川)
 

宮城県、震災前の姿

こんにちは。はり灸ライトグリーンの坂口友亮です。
今回は東日本大震災により宮城県沿岸部がどのように変化したのかが一目でわかる、そんな写真集を紹介したいと思います。

みやぎの海辺思い出の風景―2011・3・11を境に みやぎの海辺思い出の風景―2011・3・11を境に
(2012/03)

商品詳細を見る

私がこの本を知ったのは、前回の第10回訪問時に、「今の風景を見ても、震災前の様子が分からないので被害にあったという実感がわかない」とはり灸レッドの舟橋先生に言ったところ、「こんな本があるよ」と薦めていただいたのがきっかけでした。

本を開くと左のページに震災前、右のページに震災後の航空写真が載っています。
同じアングルから撮影されているので、震災による変化を比較して見ることが出来ます。

撮影範囲は北は気仙沼市、南は山元町までの宮城県沿岸部の市町と、県境の岩手県、福島県も一部。タイトルの通り宮城県にクローズアップした内容になっています。

いたずらに扇情的な文章やデータは無く、淡々と事実が記載されています。
私も実際に訪れた行程を追いながら、震災前はこんな感じだったのか…と想像をふくらませました。
特に南三陸町の防災庁舎は現地を訪れているだけにイメージがしやすく、いかに津波で一帯が洗い流されているかが伝わってきます。

実際に現地を訪れたことがあると、写真の中の風景に降り立つ事が出来ます。シンプルに写真とデータしかない分、そこから何を読み取り、感じるかは読者次第…という構成になっています。

(坂口)

東北の巨大防潮堤を考える視点

はり灸レンジャー・レッドの舟橋です。
今回は、東北の巨大防潮堤を考えるうえでヒントになる本をご紹介します。

東北の岩手・宮城・福島の3県。
3.11の大きな被害を受けた太平洋岸で、いま巨大な防潮堤の建設が進んでいます。
今までの当ブログにも何度か投稿がありましたように、現地の各自治体や住民からはその必要性について疑義が呈せられているものもあります。

岐阜県という海なし県に住んでいる私にとって、海の怖さと、また相反する海の恵みについてなかなか実感を得られないのも事実です。
そんな時、防潮堤を考える視点の一つを与えてくれるのが次の本です。

被災地から問う この国のかたち (イースト新書) 被災地から問う この国のかたち (イースト新書)
(2013/06/03)

玄侑宗久・和合亮一・赤坂憲雄 860円+税 
商品詳細を見る

被災地に在住する方々が、鼎談という形で行なったシンポジウムを中心に編集された本です。
玄侑宗久さんは僧侶でありかつ作家、和合亮一さんは教師であり詩人です。
ともに福島県在住。

一方、「東北学」を提唱し、震災のはるか前から精力的に活動されているのが学者の赤坂憲雄さん。
赤坂さんの発言が示唆的です。

170頁の記述を要約すると・・・
● 震災後の海岸線を歩くと、至るところに潟ができている。
● 水浸しの泥の海がたくさん。以前、その下は水田。
● 陸前高田の津波に洗われたところも、もともと干潟であった。

その上で、赤坂さんは次のように発言されます。
やや長いですが引用します。

 南三陸町が壊滅的な被害を受けていますけれども、あそこも調べてみると、1611年の慶長大地震、津波から40年ぐらいして、町割をつくって、山村部にいた次男、三男がおりてきてつくった町なんですね。何度も津波を受けながら、それでも人口が増えていきますから、その圧力でどんどん海に出ていく。

 標高16メートルの高台に立って、指を差しながら教えていただいたんですけれども、実はほとんどかつてそこは海だった。その記憶がまだ生々しく残っているような新しい歴史なんです。人間たちがコンクリートで固めた境界を、自明の前提にしてはいけない。   
 つまり、3.11のときの境界が自明の前提ではない。それは人口が膨らんでいった時代の選択として、とりあえずつくられた境界なんだ。もう一度、我々が人と自然との境界というものをきちんと引き受ける、考える、そういうきっかけにしないと、同じことを繰り返すかもしれない。

 僕は潟を至るところでみていて、潟に返してやればいいじゃないか、というふうにあるとき思うようになりました。潟というのは、かつて生物多様性の宝庫で、漁業が行われ、その潟の周囲には水田が広がっていて、風光明媚な観光地として栄える、そうした場所だったのです。それを、もう一度復活というか、その風景に戻してやるという選択があり得るのだという、そんな議論をしたいなと思いました。
(171頁)

以上、引用おわります。

これは夢物語でしょうか?
開発、経済成長が当たり前と思う人々にとっては寝言に聞こえるかも知れません。
しかし、人口減社会を迎える日本、そして震災によって人口流出に悩む東北がとるべき道の一つにも感じられます。

現地に何度か足を運んでいる者の実感であります。
東北の現状は軽々しく口に出来ないことも多々ありますが、オルターナティブな視点を提示して下さっています。
引き続き東北の声に耳を傾けていきたいです。

セミナーに参加してきました!

セミナーに参加してきました!

こんにちは。はり灸ライトグリーンの坂口友亮です。
先日4月6日(日)に京都で行われたはりネット主催のセミナー「被災時の鍼灸医療を考える」に参加してきました。

セミナーの内容は、はりネットのサイトに掲載されています。
https://harinet.org/category/seminer/

私がセミナーに参加して感じた事は「人と人のつながり」の重要性です。

はりネットの理事長である日比泰広さんも、石巻市で精神科医として被災地医療に携わる宮城秀晃さんも、「震災時に何が起きるか、また何が必要とされるかは予測不可能である」という事をおっしゃっていました。

もちろん、平時から震災を想定した準備や対策は欠かせません。
しかし災害時は非日常であり、マニュアル的な対応ではなく時々刻々と変化する被災地の情報を的確に把握し、迅速に対応する事が求められます。

その為には、相互に情報交換が出来るネットワークの構築が欠かせません…と書くと堅苦しいですが、「人と人のつながり」があれば的確で迅速な対応を行う事が出来る、というメッセージを今回のセミナーは発信していたように感じました。

「最近こんな活動をしているんだけど」「こんなアイデアがあるんだけど、どうすれば良いかな」など…。
まずは気軽に連絡を取り合える仲間を一人ずつ増やしていく事が、災害時の対応にもつながるのでは、と思います。

高度に通信技術が発達した現代でも、いざという時は「顔と顔、名前と名前のなじむ」関係性が頼りになるようです。

今後もこのような機会があれば参加していきたいと思います。

(坂口)