二回目の能登半島災害支援
4月28日から29日の二日間、能登半島方面への活動に参加させていただきありがとうございます。
今回二回目になる能登への訪問です。
日本財団より助成金を頂き活動できていることに誠に感謝いたします。
前回は初めての被災地での鍼灸治療ということで、とても戸惑いながらの治療でしたが、二回目もやはり戸惑いながらの治療で、被災者の方々と支援者の方々を治療させていただきました。
私の治療院には、自分の身体の不調があり、その不調を治して欲しくて患者様は来院されます。
その不調の症状別では、腰や肩の痛み等の運動器系の疾患で来院される患者様は1割もいません。ほとんどは、産婦人科系疾患、小児科系疾患、呼吸器系の疾患、皮膚疾患、神経系の愁訴、不定愁訴などで不調を治して欲しくて、来院されます。
しかし被災地においては、鍼灸治療を受けていただきたい為に、または知っていただきたい為に「鍼灸治療を受けませんか?」と案内をして治療させていただきました。
問診表でのつらい症状は、腰や肩の痛み、眠れないという主訴が多く、
治療後には、
「腰がまったく痛くない」
「肩がまったく痛くない」
「なぜ刺さないの治るの?」
と驚かれていましたが、運動器系の痛みを改善するのはもちろん大切だが、鍼灸師としての本来の診察、治療の目的はそこではなく、身体の奥にある「こころの傷、痛みを緩和させる」ことこそが、鍼灸師しかできない治療だとあらためて確信いたしました。
そして今回初めて小学生の男の子を治療させていただきました。
今まで私の治療院へ来院された子どもさんの中にも診たこともない病態で、まさしく「こころの傷、痛みを緩和させる」ことができたと感じ、鍼灸師として能登に来てほんとうに良かった。と感動しました。
被災地のみなさまは言葉では多くは話されませんが、前回に続き今回も、治療中、治療後に号泣されてマスクが、涙でビショ濡れになってしまった方が多くおり、みなさんほんとうに辛く大変な中、頑張っておられるのを脈診を含めた四診法からも読み取ることができて、改めて被災者の方々の心の痛みを痛感しました。
今回の治療に於いても、ドーゼオーバーにならぬように深く考慮して、病んでいる病態をできるだけ少ない刺激で痛みや辛さを無くす、もしくは軽減させることに気を付けて治療しました。
しかし今回もあまり多くの治療が出来なかったのですが、少しでも被災地の方々のお力になりたいです。
森野 弘高
こんにちは。
はり灸レンジャーパープルの西井牧子です。
3月に引き続き、4月もはり灸レンジャーの一員として輪島市内にて鍼灸治療をさせていただきました。
報告がすっかり遅くなり、申し訳ありませんでした。
第1回目の鍼灸治療は輪島朝市にほど近い、輪島KABULETにて2日間活動しました。
今回は輪島中学校、河原田公民館、輪島高校での活動となりました。
前回と同じ輪島市内での鍼灸治療でしたので、前回施術させていただいた方に再会できるなど、嬉しい訪問となりました。
しかし発災から4ヶ月が経ち、避難所の方々の疲労も色濃く、不眠をはじめ様々な自律神経症状が出ていらっしゃる方もおられました。
施術後は、楽になったと多くの方に喜んでいただきました。お配りしたローラー鍼やお灸でセルフケアをされながら、少しでも楽な状態が続いていただけたら…と切に願います。
金沢から奥能登方面へ向かう道路もまだガタガタでライフラインも一部復旧されず、まだまだ不自由な暮らしを強いられています。そのような中でも被災者の方同士が労りあいながら支え合われていました。
印象的だったのは、避難されているにもかかわらずボランティア活動に励まれている方がおられたことです。
今回私たちはり灸レンジャーの活動に全面的に協力し支えてくださった現地のボランティアのみなさまへ、心から感謝申し上げます。
今後はり灸レンジャーとしての輪島での活動は、6月、7月と続きます。
少しでも、被災された方々のお辛さが和らげる様、お役に立てたら嬉しいです。
今回はり灸レンジャー(以下レンジャー)の被災地ボランティア活動に初めて参加した鍼灸師の藤田英一(神戸東洋医療学院2期生)と申します。生まれは石川県能登地方の志賀町というところですが、現在は石川県加賀地方の白山市に住んでおり、出張専業鍼灸師として細々とやっております。今回の地震で白山市もかなり揺れましたが、大きな被害もなく日常生活を送っています。同じ石川県にいながら自分と被災地の方々とのこの大きな境遇の違いは?と思いながら日々過ごしておりましたが、なかなか被災地を訪れる機会もなく、今回無理を言って急遽第2回能登訪問に同行させて頂きました。レンジャーも私を温かく迎え入れてくださり、その懐の深さ、大変感謝しております。
今回の活動内容の詳細は他のメンバーの方も述べられていますので割愛させて頂きますが、被災地における鍼灸ボランティア活動は被災地の方々にとってはもちろん、我々鍼灸師、そして鍼灸業界にとっても大変重要で有益であるということ、それは皆同じように感じていると思います。
初めてレンジャーの活動に参加し、多くのことを勉強させて頂きました。施術場所の設営や準備、撤収、掃除等の手際の良さ、何事にも臨機応変に対応出来る柔軟性、熱いものを胸に秘めながらも冷静沈着に行動される姿、被災された方々への接し方など、感心致しました。これらは長年の活動で培った経験値の高さから来るものだと思いますが、やはり人間性によるところが大きいのではないでしょうか。また活動を円滑に進めるためにサポートして頂いた現地コーディネーターや被災地支援の方々、そして何よりも被災された方々には本当に感謝しかありません。
なんちゃって鍼灸師の私は、到底レンジャーのレベルに達することは出来ませんが、無理な背伸びをせず、自分が出来ることを精一杯やるだけだと思っております。決して自己満足で終わることなく、被災された方々の何かお役に立てればと。今回同行させて頂き、被災地における鍼灸ボランティア活動の必要性の確認、そして鍼灸の素晴らしさを再確認させて頂きました。
最後になりましたが、被災地の一刻も早い復旧復興、被災された方々の健康、そして明るい未来を祈っております。
はり灸レンジャーピンクの森川彩子です。
4月28日(日)〜29日(月)の2日間、第2回能登訪問に参加させて頂きました。
私自身は能登へは初めての訪問でした。
1日目は輪島市の輪島中学避難所、2日目は2手に分かれて、輪島市河原田公民館避難所と輪島高校避難所での活動でした。
多くが鍼灸が初めての方でしたが、2日間で57人の方に施術を受けて頂きました。
肩や腰などの痛み、不眠、便秘の訴えが多く聞かれました。
集団生活で音を立てないようにトイレを控えている方もおられました。
避難所では水が出ますが、周辺の家々にはまだ水が出ないということでした。
避難所では血圧が高い方も多くおられました。
ご不便な生活が長く続いていることも影響していると想像します。
鍼灸をすると、体が軽くなった、楽になった、という声が聞かれました。
一時の効果だけでなく、地元鍼灸院の紹介や、ご自身でできるセルフケアもお伝えしました。
なんとか毎日を乗り切って頂きたいと思います。
輪島では5月末を目処に避難所を閉所して仮設住宅や自宅へ移れるようにしていくようです。
今回輪島では宿泊施設が再開しておらず、支援者は金沢から2時間半かけて通う必要があり、十分な支援ができない状況でした。
沢山の方々が復旧作業に取り組んでおられますが、被害が大きかった、ということだと思います。
東北や熊本に比べてもご不便が長く続いている印象があります。
まだまだ手厚い支援が必要だと感じました。
はり灸レンジャーとしては、7月末までに2回訪問を予定しています。
少しでも被災地を応援できるよう、活動を続けたいと思います。
4月29日(月祝)石川県 輪島市
<施術時間・場所>
11:00~15:30・河原田公民館 図書室(輪島市西脇町)
13:00~15:30・輪島高等学校 避難所(輪島市河井町)
<参加者>
鍼灸師 5名〔藤田(石川県), 森野(愛知県), 西井(兵庫県), 森川×2(兵庫県)〕
調整員 1名
<受療者>
河原田公民館・17名
輪島高校・13名
<対象>
避難所被災者(被災者支援)
現地職員(支援者支援)
<活動内容>
鍼灸施術
セルフケア用品の無償配布(希望者)
<日程>
9:00 七尾市避難所 出発
10:15 輪島市 河原田公民館到着
11:00~15:30 鍼灸施術
※ 途中から2班に分かれて活動
13:00~15:30 輪島高校にて鍼灸施術
16:00 撤収後、金沢駅へ向けて出発
18:30 金沢駅にて解散
<詳細>
今回の能登支援では、JOCA(青年海外協力協会)の手厚いサポートのお陰で、施術に集中することが出来ている。
被災地での活動は、多くの支援団体の協力で成り立っている。
その現地支援団体から「体が軽くなった」「疲れが取れた」「また来てほしい、ありがとう」といった施術後の感想を伝え聞けることも嬉しい限りである。
今回、前回と場所は違えど同じ輪島市内ということで、前回受療された方とも出会えた。
「ローラー鍼、使っているよ」と、有難いお言葉も聞けた。
ケアするポイントを再度お伝えすることで、セルフケアも定着すると考える。
再訪問することの重要性を感じる瞬間である。
前回とは異なる場所で単純に比較は出来ないが、血圧の高い人が多かった。
同じ輪島市内の避難所でも、その環境は大きく違った。
ワンタッチテントや段ボールハウスでプライバシーが守られている所もあれば、段ボールベッドと低い仕切りだけで生活の場が丸見えの所もある。
ただ、それも施術環境と同じで一長一短あり、プライバシーが不十分と思われるところは逆に目が届きやすいという利点もある。
発災から4か月が経つが、思いのほか、復旧・復興に時間を要している。
輪島に残る人から「仮設住宅に中々当たらない」といった切実な声も多数、耳にした。
日常に戻るまでには、まだ遠いと感じる。
これまでの被災地に比べ、ボランティアの数も圧倒的に少ないようである。
今後も支援団体と連絡を取り合って、支援の必要な人や所に支援を続けていきたい。
(ブルー:森川真二)
4月28日(日)石川県 輪島市
<場所>
輪島中学校 避難所(輪島市河井町)
<施術時間>
13:00~18:30
<参加者>
鍼灸師 5名〔藤田(石川県), 森野(愛知県), 西井(兵庫県), 森川×2(兵庫県)〕
調整員 1名
<受療者>
27名
<対象>
避難所被災者(被災者支援)
現地職員(支援者支援)
<活動内容>
鍼灸施術
セルフケア用品の無償配布(希望者)
<日程>
9:30 金沢駅前レンタカー出発
12:00 輪島市役所 健康福祉部 ご挨拶(福祉課長不在の為メモにて伝言)
12:30 現地支援団体と合流後、輪島中学校 避難所 到着
13:00~18:30 鍼灸施術
19:00 撤収後、宿へ出発
20:00 七尾市にある避難所の2階で宿泊(連携団体の災害拠点場所)
<詳細>
金沢駅から輪島市中心部まで、依然として起伏の激しい道路もあり、片道2時間以上を要した。
奥能登へ支援に入ることの大変さを未だ感じる。
今回も現地支援団体の調整により、輪島中学校 体育館の避難所の一角にて、鍼灸施術。
事前の告知や当日の呼びかけもして頂き、今回も多くの方々に施術を受けて頂けた。
広い空間の為、マスカーテープによる目隠しが難しく、ワンタッチテントなどの必要性を感じた。
その反面、通りがかった避難者の方々が、施術の様子を見て、受療につながるという利点もある。
個人のプライバシー保護の観点と、広く知って貰いたいという願いの挾間で、悩ましい所でもある。
避難所での暮らしも中長期に渡り、心身の苦痛に意識が向くようになってきている。
首肩こり、腰痛、膝痛といった痛みから、倦怠感、睡眠障害など、その症状は多岐にわたる。
避難生活が長くなる一方、避難者同士や、支援者との間で、顔なじみの関係も出来ており、鍼灸施術を誘い合う場面もあった。
また、避難所には外部の都道府県からの応援も入っている。
そういった支援者にも慣れない職務や生活での苦労を感じることもある。
現地の被災者優先の支援にはなるが、空いた時間などでは施術を受けて頂きたい場面もある。
しかし、被災者の前では、同じように施術を受けづらく、遠慮されることがほとんどである。
「被災者支援」と「支援者支援」の場所は、別の方が良いと感じた。
今回も鍼灸を受けたことが無い方も多かったが、「こういう機会でもないと受けることは無いから」と、初体験される方もおられた。
施術前は緊張で強張っていたお顔が、施術後は清々しい笑顔になられていくのも印象的でした。
これを機会に、地元の鍼灸院へとつながってくれると、私たちの活動もさらに意味のあるものになる。
避難所生活の一長一短、どちらも感じる機会となった。
(ブルー:森川真二)