鍼灸レッド舟橋です。
今回は私たち「はり灸レンジャー」の主たる活動フィールドである南三陸町の人口流出、減少の厳しさについて触れます。
南三陸町はもともと過疎化、少子高齢化が進んでいたとはいえ、3.11までは人口1万7千人ほどを維持していました。
しかし、震災で多くの方が亡くなり、その後土地が少ないため町外に仮設住宅を作った関係もあり、実質的な人口が激減しています。
さらに高台移転の難しさや仕事を求めて次々と町外に人が流れるという悪循環に陥っているようで、2014年春の時点、住民票ベースで1万4千人(南三陸町のホームページより)。
しかし、住民票は置いたまま実質的に町外に暮らしの拠点を移している人々も多いと地元ではささやかれ、実数は1万を切るのではないか、と噂されているほどです。
問題は若い人がいなくなることで、子どもが生まれてこないということです。
南三陸町のNPOで働くスタッフの方の情報によると、今年21歳が195人ぐらい。(昨年の成人の人数)
今年の新小学1年生100人ぐらい。
そして、 去年生まれた子60人ぐらい。
すごい勢いで減っているのが分かると思います。
先日、NHKクローズアップ現代で「極点社会 ~新たな人口減クライシス~」という番組が放送されていました。
専門家によると1万人を割った自治体は急速に過疎化が進み、自治体の存続そのものが難しくなることもある、と言います。
そんな中、朝日新報の次の記事が目に留まりました。
南三陸町からお隣の登米市の仮設住宅に多くの町民の方々が移住しています。
その中で、登米市に永住希望する方が増えているとのこと。
結果として、南三陸の人口がますます減るという予想です。
この登米市は私たちもしばしば訪問しているところで、大型の仮設住宅での治療も2回ほどしてきました。
生活の便利さを考えれば、そういった選択をされる方がたの気持ちもよく分かります。
一方、南三陸町の今後を考えるとなんとも言えない気持ちにおそわれるのです。
新聞記事はリンクが切れるかも知れませんので、そのまま本文を貼り付けます。
http://www.asahi.com/articles/ASG345QZMG34UNHB00Z.html
宮城)南三陸から登米へ人口流出、財源縮むか
伊藤喜之(朝日新聞)
2014年3月5日03時00分
震災後の人口流出が激しい自治体は、国からの地方交付税が大きく減りかねない。国は緩和措置の検討に入るが、その内容はまだ見通せない。三陸沿岸の自治体は危機感を募らせる。
内陸部にある登米市の住宅街では、南三陸町からの人口流入に伴う建設ラッシュが続く。
南三陸町の自宅を流された建設業の佐々木徳弘さん(54)は昨年2月に登米市に家を新築。80代の両親や妻子と5人で暮らす。
「両親も病気がちで、早く広い家に入れてあげたかった。故郷に戻りたい気持ちは山々だが、移転用地の完成を待っていられなかった」
三陸沿岸は海近くまで山が迫り、平らな土地は山を切り崩して造成しなければならない。仙台市などの平野と比べ遅れが目立つ。
佐々木さんは住宅ローンを組むために住民票も登米市に移した。融資を始める時に、原則そこに住んでいなければならないという業界ルールがあるからだ。
南三陸町は仮設住宅を建てられる土地も町内に少なく、480戸を登米市内に建てた。新築した人や、みなし仮設に暮らす人らも含めれば、3千人前後が市町境を超えたとみられる。
南三陸町の中心部には2軒のスーパーがあったが、震災で全壊し、いまだに再建されない。中心部のまちづくりが固まらず、どれほど人口が減るかも見通しにくいことが背景にある。
スーパーや商店が中心部に再建されても、津波を避けて高台に移る住宅地から歩いては行きにくい。登米市での暮らしに慣れた町民が、どれだけ南三陸町に戻るかは不透明だ。
南三陸町が登米市内に造った仮設で1人暮らしをする無職山内文夫さん(78)は昨秋、この仮設を訪れた布施孝尚登米市長に直接訴えた。「早く災害公営住宅をつくってください」
スーパーや病院が歩いて数分の場所にある。こんな便利な生活は生まれて初めてだ。
登米市は昨年11月、南三陸町などからの避難者の意向を調べた。43世帯が登米市内にできる災害公営住宅に入りたいと望んだ。
布施市長は母親が南三陸町出身。「町民を奪うつもりはないが、切実な声もある」。昨年夏、復興庁から予算が確保できそうな災害公営住宅24戸をまず建てる方針を決めた。市に住民票を移した人が対象だ。
これに対し、南三陸町の佐藤仁町長は「首根っこをつかまえて戻ってこいとは、まさか言えない。観光などで交流人口を増やしていくしかない」と話す。
このままだと、南三陸町の人口は国勢調査のある来秋時点で震災前より3~4割少ない1万1千~2千人まで縮みかねない。国勢調査に基づく人口は、国から受け取る普通交付税の根拠になる。
特例がなければ、貴重な財源が10億円規模で減ってしまい、子育て支援やごみ収集といった行政サービスにも影響が出かねない。
ある町幹部は、町内の宿舎などに長く滞在する復興工事の作業員やボランティアに注目している。「少なくとも300~400人はいる。国勢調査で人口にカウントして若干でも取り返す手はある。でも、それもむなしいやり方だ」
(伊藤喜之)
(舟橋)