「どう使われる 3.3兆円 ~検証 復興計画~」
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2014/0309/index.html
3/9(日)NHKスペシャルは、たいへん濃い内容でした。
東日本大震災の後に作られた復興計画にほころびが出ているといいます。
東北の沿岸部の多くでは、住民が住めなくなった土地を売却し、新たに造成される土地にそれぞれ個人の力で住宅を再建することになりますが、人口流出が止まりません。
特に若い世代ほどそうです。
その結果、たとえば全額税金である国費を投入して、100戸ほどの宅地開発をしても、様々な理由で50戸しか新築住宅がたたないという現実がすぐそこまで来ています。
その背景には、お年寄りの場合、改めて住宅ローンが組めない、などの問題もあります。
自力による住宅再建をあきらめ、公営の復興住宅に入る決断をする方も多くあるとのこと。
更に若い世代ほど復興の遅れ、仕事のこと、子どもの教育のため、泣く泣く故郷を出る方がいるのです。
沿岸部の多くの自治体で2割ほど人口が減った場所が複数あります。
これは住民票ベースの数字なので、実数はもっと多いともささやかれているのです。
その結果、復興される街が極端に縮小する恐れがあります。
いえ、それは予想されていたことなのですが・・・
人口が減る → 学校をはじめ公共施設の数が減る → ますます人口が減る
というデフレスパイラルが起きています。
ただ、どうしても自治体としては震災前と同じだけの人口規模で計画を立てたいわけです。
岩手県の大槌町、宮城県の石巻市など、苦悶する様子が描かれます。
一方、こうなることをある程度予想し、コンパクトな街づくりを計画していた宮城県の女川市の復興計画は、そこそこ順調なようにも見えます。
それを保障するのが行政と住民の間での丁寧な対話と、信念をもって立ち向かう首長と行政マンたちです。
なぜこれほど復興が遅れるのか、その理由の一端をうかがいしるのに適した出色のドキュメンタリーでした。
再放送は、3/13(木) 午前0時40分~1時38分。
(注 3/12(水)の深夜)
ぜひご覧ください。
この番組で描かれる未来の街の姿は、決して被災地だけの問題ではありません。
確実な人口減社会に入った日本全体のありようを鋭くきわだたせたものなのです。
はり灸レッド 舟橋