第4回東北訪問

【概要】 2012年5月2日(水)~5月5日(土)

 
(南三陸町 名足仮設住宅)    (南三陸町 入谷福祉仮設住宅)

 前回の台風に続いて、今回は春の嵐と共の訪問に。その豪雨により、被災地の道路環境の悪さや、地盤沈下、上下水道の不整備といった津波後の問題を実感することとなった。
 今回施術できた訪問場所は、すべて再訪問、再々訪問になる。顔なじみの関係もでき、治療を楽しみに待ってくれている声を聞くと、こちらも嬉しくなった。
 その一方で、最近になって体調を崩される声もよく聴いた。被災直後は緊張状態で持ちこたえていたかもしれないが、ここにきてどっと疲れが出て、体にも不調が出てきている。このように張り詰めた緊張を緩めるためにも、鍼灸が役に立てばと願う。

(森川)

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活動メンバーによる報告

東北鍼灸ボランティア 第4回目の活動の概要

今回は4人の鍼灸師が参加しました。

竹原彩子(彩はり灸院 院長)
森川真二(SORA鍼灸院 院長)
佐藤由香里(学生時代、サンリ治療院のお手伝いをしていました)
舟橋寛延(サンリ治療院 院長)

5/2(水)~5/5(土)

訪問先は、宮城県の南部に位置する山元町と北部沿岸部の南三陸町です。
すべての場所は再訪、再再訪でなつかしいお顔に出会い和気あいあいと治療ができました。
震災から1年後の3月のころは報道も多かったのですが、徐々に新聞紙面からも減ってきます。
そんな今だからこそ、現地の声を届けて行きたいと思っています。

まずは治療記録の概要です。

【山元町】

被災地障がい者センターみやぎ県南支部 ささえ愛山元
計13人(9人)
内訳
スタッフ 5人(4人)
デイ利用者 6人(3人)
東田仮設入居者 2人(2人)

【南三陸町】

名足仮設
計9人(1人)

入谷福祉仮設
計11人(10人)
内訳
スタッフ 3人(3人)
入居者 8人(7人)

被災地障がい者センターみやぎ県北支部
計3人(0人)
内訳
スタッフ 2人(0人)
スタッフの家族 1人(0人)

まるカッコ内は再診、ないしは三回目の治療になります。

このGWの活動で36人の方に治療を実施しました。
そのうち、初めて出会った新患さんは、16人。再診が20人になります。

また石巻市の被災地障がい者センターみやぎ石巻支部も訪問し、
現在の活動と今後の協力体制に関する相談をしてまりました。
南三陸町と石巻市は近いので今後ともに活動日程に組み込んでいきたいと考えています。

以上が今回の概要で、治療で気づいたことなどを今後投稿してまいります。

(舟橋)

第4回訪問の活動日記 (森川)

はじめて被災地の東北を訪れたのが、去年のゴールデンウィークでした。あれから1年、今回で4回目の訪問となりました。被災地の復興にはまだまだ時間がかかり、新たな不安も感じるようになりました。

5月2日(水) 山元町

朝一の飛行機で仙台空港に到着。前回の訪問から1ヶ月あまり、4回目の訪問となると、仙台の町並みも、もはや見慣れた景色となりました。仙台駅で今回初参加のメンバーとも合流。レンタカーを借りて、山元町へと向かいます。

訪問先付近は、津波に流されて建物もぽつぽつ、ナビにも出てきませんが、迷うことなく時間通りに到着。今回で3回目の訪問となる「ささえ愛山元」の職員さん、デイ利用者さんとも顔なじみになってきました。「また来ましたよ!」という感じです。治療を楽しみに待って下さる方もおられ、こちらも嬉しくなります。

職員さんから改めて被災当時のお話や、今の状況をお伺いしました。同僚やご家族を亡くされた方もおられます。そんな状況でも皆さん笑顔でデイサービスを再開されています。厳しくつらい中でも希望を持って過ごされている姿を拝見すると、心を打たれます。できることがあれば、それが希望となって頑張れるのかもしれません。逆に希望が見つからない人にとっては、厳しすぎる現状です。どんな形でもいいので、何かお手伝いできればと思います。

5月3日(木) 南三陸町

前々回の9月の訪問と同じく、悪天候でした。台風の次は、春の嵐です。床下浸水で避難勧告や、道路が冠水して通行止めになるぐらいの豪雨でした。被災地の道路環境の悪さや、地盤沈下、上下水道の不整備といった問題を、実感することになりました。雨水だけでなく、海水によるもので、車が錆びてダメになるなどの塩害もあるとお聞きしました。津波の被害が多岐にわたることを感じます。

この日の活動は、被災地障がい者センターみやぎ県北支部のお世話になり、福祉仮設の利用者さんや職員、スタッフの方の治療を行ないました。また、スタッフのご家族の方の様子もお伺いして、セルフケアの方法をお伝えしました。

現地で働かれている職員スタッフの方も被災者です。ご自身の生活やご家族の心配を抱えながら、頑張られています。その苦労は、身体からも伝わってきました。実際、最近になって大きく体調を崩されたり、不眠も訴えられています。被災直後は、緊張状態で持ちこたえていたかもしれませんが、ここにきてどっと疲れが出て、崩れてしまわないか心配です。ときにはこのように張り詰めた緊張を緩めるためにも、鍼灸が役に立てばと願います。

まだまだ長い目で見なければいけない復興。こういった震災ストレスは目に見えないものですが、これからより表面化してくるのでしょう。普段弱音を吐かずに気丈に振る舞っている方のほうが、心配です。

5月4日(金) 南三陸町→石巻

午前中は山間にある名足仮設で治療を行ないました。名足仮設は2回目の訪問ですが、今回はじめての初診の患者さんがほとんどでした。前回の訪問は平日だったため、仕事に行かれていないお年寄りの方が多かったのですが、今回は祝日ともあって若い方もお見えになりました。再会できる喜びもありますが、また新しく鍼灸治療やセルフケアを知ってもらえることも、嬉しく思います。

午後は、被災地障がい者センターみやぎ石巻支部の事務局にはじめてお伺いしました。石巻は、震災直後に訪問してからちょうど1年ぶりの訪問です。時間がなく街並みを拝見することはできませんでしたが、また次の活動へとつながりそうなお話を聞くことができました。掘り起こせば、いくらでもニーズは出てきそうです。

(つづく 森川)

「初めての被災地ボランティア」

佐藤由香里といいます。以前サンリ治療院の舟橋先生の元でお手伝いさせていただいていました。現在は沖縄に拠点をおいています。舟橋先生よりお声をかけていただき、今回初めて東北でのボランティア活動に参加させていただきました。

仙台駅についたばかりの印象は、ここで本当にあの大災害が起こったのだろうかと思うくらいにきれいに整っていました。

そこから車で南へ一時間程行くと山元町があり、そこにささえ愛山元という福祉施設があります。初日はそちらで施術をさせていただきました。

二日目以降は、仙台市より北上し、登米市やよくニュースで耳にする南三陸町にある仮設住宅の福祉施設を訪問しました。

仙台市から離れる程に景色が変わっていくのが見られました。ちょうど新緑の季節ということもあり、美しくのどかな風景の合間に震災の爪痕が根深く残っているのを感じました。

しかし、そこで出逢う人々は私たちの訪問を喜んでくださり、笑顔で迎えてくださいました。

お身体を拝見すると疲労が蓄積しているのがよく伝わりました。できる限りの治療はさせていただくものの、一度きりの治療で取り除くのは難しいでしょう。そこでローラー鍼を配ったことは、ご自分自身やお互いにケアしていくきっかけになりいいアイデアだと思いました。なかなか自分自身の身体のことまでふりかえることができない人が多かったのではないかと思います。どこか痛いな~、疲れたな~というときに思い出して使ってもらえてたらいいなあと思います。

東北に対してニュース上での印象しかなかった私にとって実際にこの目で見て、人と話して、空気を感じられたことは本当に良かったです。今後また参加できるかどうかはわかりませんが、すばらしい機会を与えてくださりありがとうございました。