御船町の仮設団地にて活動

第3回熊本訪問 【三日目】
11月4日(金) 晴れ (益城町 最高気温 18.2℃ / 最低気温 3.5℃)

この日訪れたのは、ふれあい広場仮設団地です。
ここは、第1回訪問で活動した御船町スポーツセンター(避難所)に近いところにあります。

22戸と20戸の二つに分かれ、みんなの家(談話室)も、それぞれに設置されています。
そこでメンバーも二手に分かれ、それぞれで鍼灸施術を行ないました。

ふれあい広場仮設団地みんなの家201611

私たちのいた談話室では、昨日に引き続き少ない人数の施術となりました。
昨日施術を受けられた方、第1回訪問の避難所で施術を受けられた方、そしてスタッフの方にも、施術を受けて貰えました。
第1回訪問で施術を受けられた方は、
「避難所暮らしで出ていた腰痛が、治療後にすっかり良くなったんです」
と教えて頂きました。
前回の訪問のとき、その御礼を伝えに来たかったそうですが、都合により来れなかったとか。
嬉しさ余りあるお言葉でした。

今回の訪問で、多くの方の施術を通して気になったのが、風邪症状でしょうか。
「最高気温」と「最低気温」を上に示してあるように、寒暖差が激しく、体調を崩している方も多くおられました。
咽、鼻を傷められている方も多かったように思います。
それに伴い、頭痛や肩こりなども。
コリや痛みに鍼灸は即効性もありますが、風邪症状となれば日頃のケアが重要になってきます。
そこで必要になってくるのは、やはりセルフケアでしょう。

このたった1回の施術に終わらず、今後もご自身でケアして頂けることを、心から望みます。
そして、また次回お会いして元気な様子を伺えることを、心待ちにしています。

(森川真二)

御船町の仮設団地、地域の食堂にて活動

第3回熊本訪問 【二日目】
11月3日(木・祝) 晴れ (益城町 最高気温 16.8℃ / 最低気温 4.2℃)

この日からの二日間は、御船町での活動となりました。
第1回、2回訪問と、こちら御船町での活動をコーディネートして貰ったレスキューストックヤード(以下、RSY)さんに、活動先を紹介して頂きました。
そのRSYさんは、震災後の「緊急支援」ということで、熊本支援に入られています。
しかし現地団体や行政団体への引継ぎ、復興に遅れがあり、今もこうして私たちボランティア団体と被災者への橋渡し等にも携わられています。
ただそれも12月迄で、今後は「御船町地域ささえ合いセンター」(社協運営)が、その役割となっていきます。
その今後のこともふまえ、その担当者や前回までにつながりのできた仮設団地等へ訪問させていただきました。

朝、まずはメンバー二手に分かれ、旧七滝中仮設団地と、今城仮設団地へ訪問しました。
私たち二人は、前回も訪問させてもらった、山中にある旧七滝中仮設団地への再訪です。

旧七滝中仮設団地みんなの家201611

こちらは昨日訪れた益城町の大規模な仮設団地と違って、全24戸の小規模仮設団地です。
ここは市内中心地から少し山道を上ったところにあります。
それに従い、気温も3℃ほど低いとか。
この日も風が強かったので、少し寒さを感じました。

訪問したのは、祝日、そして町の方で何かイベントもあったようで、外出している方が多かったようです。
施術に来られる方はごくわずかでした。
大工さんなど昼休憩で帰って来られる方もおられましたが、昼食を済ませばすぐ出て行かれました。
休日も、家の片づけや仕事などで忙しくされている様子が伺えました。
(被災された家の片づけ、解体もまだ終わっていないということです。)

その分、談話室に来られた方には、施術やお話がゆっくりできました。
前回施術を受けられた方とも再会できました。
お元気そうだったのは何よりですが、震災当時のことや被害の現状のことも話され、復興にはまだ遠いことも実感しました。

その後、もう一方のメンバー達の元へ向かいます。
そこは、御船町内にある地域の食堂で、近隣の住民の方々が集まっていました。

仮設住宅におられる方だけが、被災者ではありません。
仮設住宅に移れるのは、「半壊」以上の方々です。
一部損壊でも、家の中はめちゃくちゃ、大きな被害を受けられた方もおられます。
逆に、避難所や仮設住宅にいないことで、受けられる支援が少ないこともあるようです。
そういう意味では、こういった地域の方々が集まる場での活動も意義のあることです。

同じ被災地といっても、被災の程度や状況、支援の偏りなどがあることを、改めて感じました。
「御船町」も、他の被災地域に比べると、知名度は低いようです。
はり灸レンジャーとしては、こういった支援の届きにくい地域や人に対して、活動を続けていきたいと思います。

(続く)

(森川真二)

益城町の仮設団地にて活動

第3回熊本訪問 【一日目】
11月2日(水) 晴れ (益城町 最高気温 17.6℃ / 最低気温 3.1℃)

朝、熊本駅にメンバー集結。
今回も「鍼灸地域支援ネット」と連携し、新しく設営された熊本ベースに立ち寄り、ベッドを貸して頂きました。
レンタカー2台に分かれ、益城町に向かいます。

木山仮設団地みんなの家201611

前回第2回訪問時に、益城町総合体育館(避難所)の隣にあった「よかましきハウス」で出会ったご縁で、木山仮設団地で活動を行いました。
益城町では、テクノ仮設団地に続く、2番目の大きさの仮設団地(全220戸)のようです。
戸数も多いので、「みんなの家」も複数あり、その内の一つを利用させていただきました。
(「みんなの家」= 集会所(60㎡)、談話室(40㎡)に分類されています。)

到着すると既に入居されている方が集まっておられました。
お茶やお菓子も常備されているようで、寄り付きやすい雰囲気でした。

前回の「よかましきハウス」で施術をされた方も、数人来られていました。
また、前回施術を受けられなかった方も、今回は受けて頂くことができました。

そして、前回お渡しした「ローラー鍼」が活用されていることも伺いました。
「お灸はすぐ使い切りました」とのお言葉も。
また施術させてもらい、セルフケアのポイント、そして追加の「簡易灸」を、お渡しできました。
継続して訪問することのメリットを感じます。

もちろん、今回が初めての方も多くおられました。
メンバーの声掛けもあって、計23人の施術となりました。

各訪問では、鍼灸治療を受けたことのない方ともよくお会いします。
折角だからと、鍼やお灸に、初挑戦される方もおられます。
ボランティアをきっかけに、鍼灸治療を知ってもらえることも、嬉しく思います。

(続く)

(森川真二)

第3回熊本訪問概要

はり灸レンジャー参上御船町201611

前回8月の猛暑の訪問と打って変わって、朝晩の冷え込みが厳しい第3回目の熊本訪問でした。大規模な避難所は閉鎖されてきたものの、まだ仮設住宅に移れず、避難所暮らしの方もおられます。
また、前回や、前々回に施術を受けられて、今回も楽しみにしていたという方々とも再会できました。そして次回の訪問も約束して、今後の連携などについても確認できた訪問でした。

11月2日(水)
【熊本県 益城町】
木山仮設団地 集会所にて、鍼灸施術
(計23人施術)

11月3日(木・祝)
【熊本県 御船町】
旧七滝中仮設団地 談話室、
今城仮設団地 談話室、
地域の食堂にて、鍼灸施術
(計22人施術)

11月4日(金)
【熊本県 御船町】
ふれあい広場仮設団地(2箇所)にて、鍼灸施術
(計9人施術)

総計 54人施術

各訪問メンバーの感想などは、順次投稿致します。

(森川)

第15回東北訪問

はり灸レンジャー、グレー鈴木です。
第15回東北訪問に参加しました。石巻で予定されていたイベント「にょっきりフェスタ」が雨天のため中止となり、活動先の変更もありましたが、天気も大荒れせず、道中無事に終えることができました。今回も受け入れてくださった皆さんに感謝します。ありがとうございました。

震災から5年半が経った現在、以前仮設住宅での生活を強いられている被災者は多いものの、徐々に仮設住宅から災害公営住宅などに移って行く人々が増えているようです。

今回訪れた南三陸町の入谷福祉仮設住宅でも以前より利用者が減っているように感じました。
そんな中、南三陸町や気仙沼市などでは異常とも言える高齢化が進んでいるようです。
メディアなどで様々報道されていますが、被災者の中でも若い家族は仕事や教育の充実した都市部に移住したり、また避難先にもう5年以上住んでいるので生活のベースができてしまい、そのままその土地に根を下ろして元の被災地に戻って来ないとか。
仕方がないと言えばそうですが、何とも心苦しいですね。

高齢者の中には一人暮らしの方も多いと聞きます。孤独死や精神疾患を防ぐためにも新たなコミュニティ作りが重要だと言います。昔ながらの開けた日本家屋とは違い、集合住宅型の災害公営住宅ではコミュニティを作って行くにはそれなりに難しいとか。それでも現地のおじいちゃんおばあちゃんが率先して、みんなが集まりやすいように集会所を工夫したり、お茶会などを開いたりと努力されてるようです。

福島の原発被害のことも合わせて考えると、こんなにも多くの難しい問題が後を引くなんて、、、、、あの震災は本当に大きく重いものなんだと感じています。

入谷福祉仮設住宅201609

入谷福祉仮設住宅

震災から5年半の訪問。ボランティアとして願う事

はり灸レンジャーの清水です。
私がはじめて活動に加わったのが2010年の9月。
それから5年という個人的な節目に、また東北を訪問することが出来ました。

今回訪れた福祉仮設への訪問回数はなんと10回目。
施設に入居されている方やスタッフさんたちとも気軽にお話が出来る関係となっており、
前回の施術後の体調の変化から入居者さん達の近況まで話に花が咲きました。
(私が今回施術させていただいた方は、はり灸レンジャーでお配りしているローラー鍼を母子で愛用しているそうです。そういった嬉しいお話を伺えるのも継続訪問の醍醐味です。)

5年半も経つと、どの方からも震災について直接お話を伺う機会は少なくなってきました。
私たちが伺った地域では復興住宅への転居が進んでおり、仮設住宅の閉鎖も近いだろうとのことでした。
しかし、まだまだ続くインフラの建設や、人口の減少といった問題はこれからも続く課題です。
ご主人が地元で土木建設に携わっている奥さんの悩みや、のぞむ仕事先や進学先を求めて町から出ていくお孫さんについて語るおばあちゃんのお話を、施術中に伺いました。
ぼんやり知っているつもりでいたニュースも、より生々しくショックを感じます。
それは、ボランティア活動を始めた当初から変わらずあります。
こうした震災というものがベースにある様々な問題は、きっかけは一つでも、家族や仕事、進路などそれぞれがとても個人的なことでもあり…これからも向き合っていかなくてはいけない事ばかりです。

私達ボランティアは、ほんの一瞬しか関わることしかできませんが、その一瞬でも、体と一緒に心もホッとする時間となっていたらいいな、と思いました。

入谷福祉仮設住宅201609

(清水)

被災地になった母の故郷へ

はり灸レンジャーに初参加させて頂いた黒田です。

熊本県は母の出身地であり、阿蘇にも幼少の頃より夏休みに度々遊びに行った思い出があります。
母の実家は、被災地中心の益城町からすぐ北にあり、熊本市や周辺にも親族が住んでいます。
幾つかの家にヒビが入ったり、牛小屋が倒壊するなどはしたけれど、人的な被害は無かった様です。

今回、熊本に鍼灸ボランティアに行くということで、一も二もなく参加しました。
高速道路を使って自家用車で熊本入りしたのですが、熊本県内に入ると高速道路の一部の下りの道路が壊れていて、そこだけ上りを使った対面走行になるなど地震の規模の大きさを感じました。

私は二日目から参加したのですが二日目の目的地、御船町に入ると屋根にブルーシートがかかった家が沢山目につきました。
他のメンバーと合流してから山間に有る旧七滝中仮設住宅の集会所へ行き鍼灸治療を行いました。
そこへ行く道は細く狭い道が多く、途中直径1mほどの岩が道路に落ちているのも見ました。
治療をしながら話を聞くと、「仮設が山中にあり不便」、「移動に時間がとられる」、「壊れた家をどうするか」など、いろいろな不安が聞かれました。

三日目は益城町の総合体育館避難所に行きました。
熊本市のホテルから益城町の町中を通って行ったのですが、益城町の中心部に近づくほど倒壊家屋が増えて行く感じです。
コンビニやスーパーなど生活のインフラや物流が通常に戻っているすぐそばで、未だ解体も手付かずでそのままになっている家屋が沢山あるのがとても印象的でした。

鍼灸ボランティア終了後に一泊して阿蘇地方を観光してきました。
ニュースにもなった阿蘇大橋崩落などのため、阿蘇に入る道はいくつも寸断されていました。
阿蘇に向かう道中に子供の頃によく行った食事処で昼食を取ろうと思ったのですが、そこへ行く道の途中で道路が通行止めになっており、電話して聞いてみると、震災以来営業停止中との事でした。

阿蘇地方に入っても、通行止め、崩れた道路、基礎が崩れた家、削り取られた山肌など、震災の傷跡はあちこちに見られます。
しかし、壊れた所は閉鎖しながらも、残った部分で営業を再開している店舗なども多く見られました。

三日目の夜に、叔父夫婦と食事をしてきたのですが、「来てくれてよかった。家にじっとしていると気が滅入る。人が来てくれると嬉しい」というような事を言われていました。

復興支援とかボランティアとか大仰な事だけではなく、観光に行く、遊びに行くといったことでも、被災地と関係を持つことでなにかしらの支援にもなるのかなと感じました。

旧七滝中仮設_黒田

被災地を目の前にして

はり灸レンジャー”グレー”の鈴木です。
第2回熊本訪問に参加しました。

熊本は福岡に次いで九州第二の都市。歴史があり、活気があって雰囲気もいいと聞いていたので、震災前から一度訪れてみたいと思っていました。それがはり灸レンジャーで訪れることになるとは…。

震災から4ヶ月経っての訪問でしたが、まだ震災の爪痕が大きく残っていました。
宿泊したホテルの立体駐車場は使用禁止に。それから熊本市内から東へ、益城町方面に向かうと、斜めに傾いた家屋や店舗ががポツリポツリ。もちろん外見では分からない被害もたくさんあると思いますが。
それからさらに東に進むにつれてブルーシートで覆われた瓦屋根が目立つようになり、益城町に入ると完全には倒壊した建物があちらこちらに見えるようになります。さらに進むとかなり被害の大きかったエリアに。道路の両側に倒壊,、半倒壊の建物が並び、集積された瓦礫の山も現れる。解体業者が不足しているとの事で、被災後そのままの状態で残っているようです。
そのすざましい光景を目の当たりにすると、言葉を失ってしまいました。逆にリアリティがないような…

私がはり灸レンジャーに初めての参加したのは2014年3月、東日本大震災からすでに3年が経っていました。その時訪問した宮城県の被災地域では瓦礫の撤去がほぼ終わり、ほとんど更地になっていました。
その何も無くなってしまった被災地もかなりインパクトがありましたが、今回の熊本で見た建被災地の姿はまたさらに衝撃を受けました。

それでも活動中お会いする被災者みなさんはとても明るくしっかりと復興に向かい前に進んでいます。それは東北のみなさんも同じ。いつも感心させられます。

今回も受け入れてくださった方々に感謝します。ありがとうございました。

かたらんな交流館_鈴木先生

熊本の被災地をたずねて

こんにちは。
はり灸レンジャー パープルの西井牧子です。

私はかつて福岡に住んでいたことがあり、熊本はその頃に度々訪れていた大好きな土地です。

いまだに毎日の様に熊本地震の余震が続き、熊本にお住まいの方々の心中を拝察すると胸が締め付けられる思いがします。

今回、熊本でのはり灸レンジャーの活動に初めて参加し、震災から4ヶ月近くが経つにも関わらず、削り取られた阿蘇の山々、寸断された道路、崩壊された住宅の数々が手付かずのまま置かれている状況にまず驚きました。

私達が熊本に訪れる前日も震度3の余震があり、その様な状態ではなかなか復旧作業も進まないのかもしれません。

震災後、避難所での生活を余儀なくされておられる方々にとっては、プライバシーも守られず、色々な不安を口に出すことすらはばかられ、何かと不自由な毎日を強いられています。
治療によってお身体の緊張や痛みが取り除かれてくると、お気持ちまで軽くなられるのか、色々とお話しをしてくださいました。

ご自宅も職場も全壊され、復興の目処も立たず、毎日避難所でただただ時間を持て余すだけ…

震災からの時間の経過とともに不安感が増し夜も眠れなくなった…

不安感から体調不良を訴える方も多くみられました。

そんななか、私が一番心に残ったのは、被災された方々を支援される方々です。

県外から来られたNPOの方は、行政では手が回らない様な、きめの細かい、被災された方々に寄り添った支援をされておられました。

常に色々な方に目を配り、心を配る様子は、ただただ頭が下がるばかりです。

そして、そんなスタッフの方もお元気そうにみえてお身体はかなりお疲れのご様子…

NPOの方々だけではありません。
ご自身も被災されながら、避難所にいらっしゃる方々を支援されておられる方にも何人もお会いしました。

そんな方は皆さん一様に
『私はそんなに大変じゃないから。もっと大変な方はいっぱいいるから。』
とおっしゃいます。

それでもお話しを伺うと、決して大変じゃない訳ではないのです。
ただ、もっともっと大変な状況の方が沢山おられるから、弱音が吐けない、吐いてはいけない、と思われておられる様に思いました。

その方も治療前は
『はり灸治療は初めてだからドキドキするわ』
とおっしゃっていましたが、治療後は
『あぁスッキリした!身体も心も軽くなったわ!』
と喜んでいただけました。

はり灸治療は、1回の治療でもお身体の苦痛を取り除き、ストレスを軽減することが可能です。
これから継続して熊本を訪れたいと思っていますが、次回お会いするまでの間はお配りしたローラー鍼やお灸でセルフケアに頑張っていただき、症状が少しでも改善され、お気持ちが軽くなっていただけたら…と思います。

よかましきハウス西井

(西井)

熊本訪問で心に残ったこと

こんにちは。レンジャーピンク森川彩子です。
8月10日から12日の3日間、連日38℃という暑さの熊本に伺いました。
娘も連れて家族で参加させて頂きました。

今回は南阿蘇のグループホームやデイケア施設の集まった福祉施設、御船町の仮設住宅、益城町の避難所に隣接する集会所、という三者三様の3カ所にお伺いできました。

お会いした方々の多くは、生活環境が変わったことで痛みや不調が始まった事を話されていました。
高齢であっても今まで家業や農作業など仕事を持たれていたのに、家や田畑の被災で仕事ができず、体を動かすことも減り、筋肉がこわばって痛みが出る。
痛みのために気持ちもふさぎがちだ、という様子でした。

また、避難所や仮設住宅のお世話をする仕事に就かれている被災者と、支援を受けとるだけの被災者の間では、同じ被災者であっても温度差があることが印象に残りました。

町の崩れた家々や、村の崩れた山や道路などを目にすると、復興はなかなか進んでいない様子で、これからも疲労は続くと思われます。

そんな中、一番印象に残っているのは、活動中にお会いしたある92歳の女性です。

その方は、地震前まで下宿の仕事をされ、大学生90名のお世話をされていたそうです。
4月19日に、橋のたもとの自宅が崩れ、下宿生1人もその時亡くされたことを涙ながらに話されました。
他の学生は休みに入って実家へ帰る中、「ばあちゃんの所がいい」と残っていた学生さんだったそうです。
「崩れた後、ショックで何もわからなくなって、目が覚めたらここだった」と話されました。
今は同じホームの認知症状の強い方と一緒に過ごされ「私がお預りしてるのよ」と気丈にされていました。

治療で膝と肩の痛みが軽くなると、「痛くないわ」と微笑まれ、こちらが救われる思いがしました。
他の方の治療する間も、連れてきた私の娘に優しい眼差しで寄り添い、ずっと遊んで頂きました。
人見知りの娘がその方と自然に居る様子をみて、これまでもこんな風に優しく、学生さんに寄り添ってこられたのだろうと想像しました。
お1人お1人に、重く大切な物語があるのだと、改めて感じました。

鍼灸は痛みやコリをその場で軽くすることができる利点があります。
体の不調が軽くなれば少し元気も出てきます。
本当に微力ですが、お会いした方々、これからお会いする方々の不調が少しでも軽くなるよう、これからもお手伝いできればと思います。

第2回熊本訪問森川彩子

(森川彩子)