はり灸レンジャーイエロー清水です。
皆でコツコツ行ってきた訪問活動も今回で13回目となりました。
震災から日々が経ち、訪問先の被災地の状況も変わっていく中、
私たちはり灸レンジャーは「はり灸で応援する」という方針はそのままに、
訪問先の状況に応じて少しずつ形を変えながら支援を続けてきました。
今までは仮設住宅を中心にお訪ねし、そこに住む方達を中心にはり灸治療を行ってましたが、
今回最初に訪れた宮城県石巻市では、初の屋外ブース出店という形での治療を行いました。
出店先は、被災地障がい者センター石巻の皆さんが中心となって開催したイベント「にょっきりフェスタin石巻」。
障がい当事者と地域の方達との交流の場をつくろう、というコンセプト通り、
来場者は障がいを持つ方、そのご家族、ふらりと遊びに来られた一般の方などなど。
開催地の石巻市だけでなく、仙台市や県外の方などたくさんの方達に治療をさせていただきました。
今回も沢山の方に治療をさせていただきながらお話を伺う中、気づいたことがありました。
はり灸レンジャーの活動を始めた震災が起こった2011年から昨年頃までは、
治療を行っていると必ず震災(私たちが伺った場所の皆さんの多くは「津波」とおっしゃいます)のお話が出てきました。
これについては私たちが外部ボランティアであるからお話して下さるという部分も大きいのだと思いますが…ご自身のお身体の事、心のこと、お仕事についてなどを説明していただく際に、この大きな災害についてのエピソードは必ず登場し、この事抜きに語ることは出来ない。
それほどの衝撃であり、それまでの生活を大きく変えてしまった出来事であるという事がお話を聞くたびにひしひしと感じられました。
今回治療させていただいた方達は、家族の悩み、お仕事に関する悩みなどがお話の中心でした。
けれど、会話のなかに「あの津波」の前と後というかたちでご自身の生活の変容についての話がでてきたり、
今のお住まいはどこか、とうかがうと「みなし仮設のアパートに今も住んでいるよ」とさらりと言われたり。
分かっているつもりでお話を伺っているにもかかわらず、そういった形で当たり前のように震災についてのお話が出てくることに改めてどきっとする瞬間がありました。
あの震災から4年半。津波によって壊されたものの多くはすっかり取り除かれ、よそから来た人間がパッと見た限りでは何事もなかったように見える風景も増えてきました。
しかし、津波で町が壊れて大きく変わってしまった事実は無くならないのと同じように、震災によって起こったさまざまな爪痕はそこに住む方達に確固とした影響を今も与えているのだな…と感じました。
けれど、震災をきっかけに新しく生まれた出来事や人間関係はたくさんあります。
そして、これからもっと増えていくのでしょう。
その象徴のようなにょっきりフェスタに、今回はり灸レンジャーとして関わることが出来たことをとても嬉しく思いました。
にょっきりフェスタ実行委員の皆様、参加者の皆様、ありがとうございました!
はり灸レンジャーブルーの森川真二です。
期間中は晴天に恵まれ、無事活動を終えることができました。
石巻市の被災障がい者の復興イベントでは、鍼灸治療のブースが設けられ、多くの方々に施術が行なえました。
そして急きょ追加された福島県のNPO団体への訪問では、原子力発電所の事故の影響を受ける被災者の方々への施術を行ないました。
今回の新たな試みは、また今後の活動へとつながっていくことでしょう。
【活動期間】
2015年9月20日(日)~9月22日(火)
【参加者】
鍼灸師6名
【活動概要】
9/20(日)
宮城県 石巻市
被災地障がい者センタ―石巻
・にょっきりフェスタ2015
鍼灸施術 計46名
施術費の売上は、全額実行委員会へ寄付。
9/21(火)
宮城県 南三陸町
・NPO法人奏海の杜
・入谷福祉仮設住宅
職員や利用者へ施術 計12名
南三陸町志津川付近の復興状況を見学。
9/22(水)
福島県 田村市
・NPO法人ケアステーションゆうとぴあ
職員や介助者へ施術 計6名
原子力発電所の事故の被害や除染の様子を案内いただく。
【第13回訪問】
総施術人数 64名
訪問場所 4カ所
(森川)
今年は長い連休となる人も多い、シルバーウィーク。宮城県では嵐のコンサートもあるとか…。計画にも一部影響がありましたが、はり灸レンジャーは例年通り活動致します!
【活動期間】
2015年9月20日(日)~9月22日(火)
【参加者】
舟橋 寛延 (鍼灸師・サンリ治療院 院長)
清水 真奈美 (鍼灸あマ師・サンリ治療院 勤務)
鈴木 一成 (鍼灸あマ師・十四堂鍼灸院 院長)
坂口 友亮 (鍼灸師・鍼灸接骨院 勤務)
森川 真二 (鍼灸師・SORA鍼灸院 院長)
森川 彩子 (鍼灸師・SORA鍼灸院 副院長)
【活動予定】
9/20(日)
宮城県石巻市
被災地障がい者センタ―石巻
にょっきりフェスタ2015
小児鍼・お灸教室&鍼灸治療
9/21(火)
宮城県南三陸町
NPO法人奏海の杜
入谷福祉仮設住宅
鍼灸治療
9/22(水)
福島県田村市
NPO法人ケアステーションゆうとぴあ
小児鍼・お灸教室&鍼灸治療
(森川)
こんにちは。はり灸レンジャーのパープルこと西井牧子です。
昨年の秋に続き、私自身2回目の訪問となった第12回はり灸レンジャーの活動。
訪れた土地で、再会を喜んでくださる方がいらっしゃるのは、とても嬉しく有難いことでした。
はり灸レンジャーの活動で東北に伺うようになって、ニュースなどで被災地の事が取り上げられる度、とても身近な事として受け止める様になりました。
それは、実際に足を運んだからこそ見える景色や、出会った方々のお顔がすぐに思い浮かぶからかもしれません。
3月にはり灸レンジャーの活動で宮城入りしたお彼岸の頃の3日間は、ちょうど寒の戻りが厳しく、夜中に降った雪が積もるほどでした。
震災から4年が過ぎ、ハード面では確かに道路や建物などの都市計画に基づいた復興作業が急ピッチに進められていました。
沿岸地域はどこも防潮堤工事や嵩上げ(かさあげ)工事が進み、ダンプなどの工事車両の往来が多く、喉から気管支にかけて反応のある方が多いのが気になりました。
ハード面の進捗状況とは一転して、ソフト面やメンタルな部分でのケアは全くなされていないと現地のNPOの方から伺いました。
宮城県の地方紙、河北新報にその事を表すかの様な興味深い記事がありました。
<震災4年>心身ストレス 昨年より改善
と言うタイトルの記事ですが、奇しくもはり灸レンジャーで毎回訪問している宮城県の山元町、南三陸町はいずれも昨年より心身のストレスが強くなっています。
山元町にお住まいの方は、震災後の津波で建てて数年の家が流され、やっとの思いで家を再建出来て喜んでいたのも束の間、都市計画にかかり、鉄道が通るから立ち退けと言われている…
もう、何にもする気になれない…
と治療中ポツリとお話ししてくださいました。
一瞬で生活の全てを奪った震災…
先の見えない不安な思いをお持ちの方が、本当に沢山いらっしゃいました。
少しでも心身の負担が減ることを願ってやみません…
こんにちは。ホワイト吉村です。
今回私は、はじめての試みとしてアロマハンドマッサージを行いました。
2012年9月にはじめて活動に参加したとき、「私はなにもできていない」というくやしさと同時に、「目の前の一人の人に喜んでもらえるなにかをしたい」という思いを強く持ちました。そして4回目となる今回の訪問でその想いが現実になりました。
鍼灸師の方々から、「治療していると、ぽつぽつと話をされる方が結構いらっしゃる」というお話をきいたとき、確かに自分自身も、治療で体に触れてもらうと、なんだか心がひらいて話をしてしまうなぁと思ったものです。
話をすることで自分自身で自分のことに気がつくことがあります。
私はこんなことを感じていたんだなぁと、自ら出てくる言葉によって気付かされます。
面と向き合って話をするのではなく、体に触れられてほっとしながらでてくる言葉を、その人自身にきいてもらいたいと思っていました。
初日に訪れた山元町の「ささえ愛山元」さんでは2名の利用者さんと4名の職員さんにアロマハンドマッサージを行いました。
「気持ちがいいね。床屋をやっていたとき、お客さんにマッサージをすることはあったけど、自分がこうしてやってもらうのははじめてだ。」
こんな風に、自分が感じる気持ち良さから、過去の自分も振り返る時間になったり。
「手をマッサージされたのははじめて。わ〜、手って、こんなふうに感じるんだね〜」
アロママッサージをうけると「体を感じる」ことができます。
普段「体を感じる」ときってどんなときでしょうか。
なんだかだるいな、あ〜つかれたな、あ、◯◯が痛い、、、
不調なときによく感じやすいのではと思います。
体が気持ち良い感覚。体が喜ぶ感覚。
こんなふうに体を感じてもらえるので、私はアロママッサージを受けるのもするのも大好きです。
2日目は入谷公民館で小さなお子さんをもつお母さんや、奏海の杜「にこまーる」の子どもたちにマッサージを行いました。
お母さん方はマッサージを受けてくださいましたが、ちらちらと振り返って見て、子どものことが気になるようでした。
ハンドマッサージは指から肘までを行います。左の前腕が張っている方が多かったので伝えてみると、「そういえば…いつも左腕で子どもをだっこしてますね。で右手では荷物をもって…」と苦笑いで話されました。
子育て。私は経験がありませんが、お母さん方を見ながら自分の時間をもつのが難しい時期なのだなぁと感じました。だからこそアロマで自分の体を感じる時間をもってもらえるとよかったのですが、子どもを他の部屋で誰かにみてもらうなどの環境作りを工夫しないと難しそうです。
にこまーるの子ども達は、マッサージをすると「気持ちいいな〜」「いいにお〜い」と話したり、スタッフの方に尋ねられて「気持ちいい」と答えたりしていました。小学生の子どもにマッサージするのははじめてのことでしたが、こんな反応があるのだと驚きました。私は肩が凝りはじめたのは大人になって随分経ったときで、それまではマッサージされても全く気持ちがよくありませんでした。なのでアロマハンドマッサージは子どもは気持ちよくないんじゃないかと勝手に思っていましたが、肩と手は違うのかも…と、新しい発見がありました。
3日目は石巻の「被災地障がい者センター石巻」で障がいのあるお子さんのお母さん方にアロママッサージを行いました。
利き手である右手が左手よりも筋肉がしっかりしているのはよくあることですが、よりしっかりしているという印象をもちました。
一人の方からこんなお話がありました。
「常に緊張している」と。
「お風呂にはいっているときも、子供が学校に行っているときも、寝ているときも、常に緊張している。だからこの感覚がすごく不思議!」とアロマハンドマッサージを受けながら言ってくださいました。
アロママッサージで体がゆるむ感覚をもったことで、普段緊張していることを自覚されたのかもしれません。
終わってから「幸せでした」と言われた方もみえました。
一方「震災関連で来ているの?じゃあいつか終わり(来なくなる)なんだよね?」という声です。
はり灸レンジャーとしての活動の目的のひとつが、「セルフケアができるようになる」です。
それは私たちがあくまでもボランティアだということ。訪問は年2回ほどで、常に患者さんのそばにいられるわけではないからです。
あくまでもセルフケアが基本であるということ。これは被災地に関わらず誰にでもいえることです。
私は「自分のからだの声をきく」というのはセルフケアにとってとても大切な要素だと思います。からだはとても正直なので、調子がわるければ痛みやつらさで教えてくれます。
からだの声。
きいているようできいていないことってあります。きいても無視したり。
そしてアロママッサージで体を感じることによって、からだの声をきけるようになると思っています。
今回訪問して、改めて感じたのは、「被災地」 「被災者」という言葉に対する違和感です。
被災地の暮らし、生活は続いています。
震災で受けたストレス、震災後の日々の生活のなかで感じるストレス。
これらを抱えながら、また解消しながら、日々暮らしています。
でもいつまでも被災地、被災者ではないはずです。爪痕は土地や建物や人々の心には残っていても。
今回このことについてはお聞きすることができませんでした。
今回はアロマハンドマッサージをさせていただけたことで自分がもらったもの、感じたものがとてもたくさんありました。
次回は今感じていることを少し伺ってみたいと思います。
そして今回感じた思いをもう少し広げ深められるような訪問にしたいと思います。
はり灸レンジャー グリーンの吉村早也香です。
2015年3月 今回で私にとってはトータルで6回目の東北訪問です。
はり灸レンジャーのメンバーから事前に聞いていた通り、鉄道や道路工事、高い盛り土でみるみる風景が変わっていました。
現在よりも、より高い位置の土地で安心して住めるようにと、今ある山を削って新しい土地開発をしたりして、山がごっそり削り採られている姿も目にしました。
今回は今までとは違った視点で東北を眺めました。
人ではなく、自然に着眼点を置いてみたのです。
東北は特に水と山に囲まれた自然豊かな土地です。そしてそのおかげですばらしい素材が手に入りやすい環境です。
では、その自然がもしなくなってしまったらどうだろうか・・・とふと考えました。
東北に限りませんが、自然の恵みなしに、わたしたちは生きていけません。
もう当たり前になりすぎて、普段考える機会がなかなか無かったのですが、
住んでいる土地も元は“自然から人の手が加えられ作り出されたもの”なのだと、この山が削られているのを見てハッとしました。
震災を経験した東北の方々は、自然の厳しさを十分すぎるほどに目の当たりにされました。
だからこそ、その経験から発信力もかなりありますし、これからの大切な日本の在り方のモデルだと思うのです。
これから私たちはどうするべきなのか・・・?
自然になるべく即して生きていくことが本当に求められている時ではないでしょうか。
自然に勝てる力は存在しないし、原発など人間が設計したものであっても時には手がつけられない大惨事を招きます。
コンビニやショッピングセンターの深夜営業、とても便利ですが、本当にそこまで必要なのか。
目に見える形あるものはどんどん豊かになっている反面、目に見えない心の豊かさはどうなのか気になるところです。
交通機関を利用しても、スマホや携帯に目を向ける人が非常に多いように思います。
発展や便利さを求めるのは人の自然な心理ですし、すばらしいことだと思います。
しかし自然とのバランスはよくよく相談する必要があるのではないでしょうか。
利益ばかりになってはいないか。地球という場所をもっと大切にしたいと改めて思います。
私もまだまだできていないからこそ、改めて考える大切な機会となりました。
わたしたちが本当に大切にしたい豊かさとは何なのか・・・日々日常から思い、考えていきたいと思いました。
吉村早也香
はり灸レンジャー・ブルーの森川です。
被災地の復興状況は各地で異なります。
復興住宅に入居をされたという方にもお会いしましたが、まだまだ仮設住宅の暮らしを続けられる方がほとんどでした。
とりわけ印象的だったのが、今回被災地のNPO団体職員の方に教えて頂いた、心身ストレスの差です。
「<震災4年>心身ストレス 昨年より改善」
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201503/20150310_13055.html
(河北新報 2015.3.10.)
同じ被災地でも復興に差が出ることはもちろんですが、心身のストレスの変化にも差があるということです。
(この心身ストレスがどういう内容か、どういった対象者かなどは気になりますが)
奇しくも、私たちはり灸レンジャーが当初から訪れている、南三陸町、山元町は、悪化しています。
目に見える復興だけでなく、こういった実態が被災地の内情を表しているのではないかと思います。
実際その心身ストレスの悪化した町で、復興住宅に移られた方を治療しお話を伺いました。
他の地域よりも早く喜ばしいことかと思いましたが、環境の変化もあって体調は思わしくないとのことでした。
道路や町が復興し、仮設住宅から出られたからといって、それで安心ということもありません。
それは阪神大震災の教訓からも言えることでしょう。
今後もこのご縁のある地で、微力ながらもお力になれればと思います。
2015/04/05 追記
(今回の新聞記事の全文です。)
<震災4年>心身ストレス 昨年より改善
東日本大震災の発生から4年を前に、河北新報社と東北大災害科学国際研究所は、宮城県内で被災者アンケートを行った。震災2年目に始まった継続調査は、時間の経過に応じて復興の段階を把握する試みだ。調査の設計と集計を担当した災害研の佐藤翔輔助教(災害社会情報学)の分析を交え、被災者の意識の変遷を探った。
◎心身ストレス
心身ストレスは前年に比べて改善傾向を示した。「心のストレス得点」は平均13.7点で前年から1.7ポイント、「体のストレス得点」は平均10.6点で0.6ポイント、それぞれ持ち直している。
心と体の状態を計る各6項目について直近1カ月の実感を5段階で評定してもらった。評定を点数化し、心と体のストレス得点を各30点満点で算出した。点数が高いほどストレスは強くなる。
心のストレス得点が高いのは、山元町(15.4点)、南三陸町、七ケ浜町(ともに15.0点)など。この3町では数値が前年より悪化している。
体のストレス得点は高い順に、女川町(11.8点)、山元町(11.6点)、東松島市(11.3点)、石巻市(11.2点)、南三陸町(11.1点)だった。
<分析/公的支援の格差関係か>
津波による家屋の被災程度別に被災者を分類すると、心のストレスが最も弱かったのは「床上浸水」だった。逆に「床下浸水」は非常に強いストレスを感じていることが分かった。公的支援には浸水の程度で差がある。その境界線がストレスと関係しているのではないか。
(2年前の 調査内容が記載してあった震災後2年の新聞記事です)
(2013/3/10 河北新報)
心身ストレス改善せず 本社・東北大が被災者アンケート
河北新報社は東北大災害科学国際研究所と共同で、東日本大震災の被災地の現状を把握するため宮城県沿岸12市町の被災者1150人を対象にアンケートを実施した。震災から11日で2年。被災者の心と体の状況は1年前の前回調査時から改善せず、なお強いストレスを感じている実態が明らかになった。生活の復興感はインフラなどの復興状況よりも、心や体のストレス、地域コミュニティーの充実などに大きく左右されることも分かった。
調査では「気持ちが落ち着かない」など心の状態と「動悸(どうき)がする」など体の状態それぞれ6項目について、最近1カ月の実感を「全くない」から「いつもあった」まで5段階で評定してもらった。
5段階の評定を1~5の得点として合計し、回答者数の1150で割って心と体の「ストレス得点」を求めた。その結果今回の心のストレス得点は14.17点、体は10.15点だった。
昨年2月、同じ12市町で1097人を対象に実施した前回調査と比較すると、心は1.27ポイント向上し、体は0.08ポイント悪化した。いずれもごくわずかな増減幅にとどまり、この1年間で目立った改善は見られなかった。
項目別で「たびたびあった」「いつもあった」の合計が高いのは、心では「何をするのもおっくうだ」23.2%、「気持ちが落ち着かない」21.7%、体では「頭痛、頭が重い」12.4%、「のどが渇く」12.0%だった。
市町別に見ると南三陸町と岩沼市では心の状態が3ポイント以上改善し、逆に気仙沼市や女川町などで悪化した。体については仙台市や山元町などでは向上したが東松島市などでは前回より悪くなり、被災地間で差が出た。
生活の充実度などから算出した「生活復興感得点」は39.60点。これも前回の39.32点からほとんど変化がなかった。
生活復興感得点を分析すると、心のストレス得点のほか、「収入」「仮設住宅での近所付き合い」「体(健康)」の各不安度と強い相関関係があることが判明した。
名取市の場合、住まいの再建・移転に対する不安度や地域の復興スピードへの評価は低い半面、近所付き合いや収入の不安度が比較的少なく、生活復興感を押し上げる大きな要因となった。
一方、心のストレス得点が高い東松島市や、近所付き合いの不安度が高い亘理町、収入や仕事への不安度が高い多賀城市などは、復興状況への不満は少ないのに生活復興得点は伸びなかった。
[調査の方法]2月3~27日、気仙沼、石巻、東松島、多賀城、仙台、名取、岩沼7市と、南三陸、女川、七ケ浜、亘理、山元5町の仮設住宅に住む被災者を対象に実施した。調査員による聞き取り、配布回収で計1150人から有効回答を得た。男女比は男性34.3%、女性62.1%。年代別は20代4.2%、30代9.2%、40代12.1%、50代14.5%、60代25.5%、70代22.2%、80歳以上4.6%。調査会社のサーベイリサーチセンター東北事務所が協力した。
滞在中の3日間、全国的にも寒波が到来したようで、台風並の風や、雪やあられにも降られました。
被災地東北の厳しい寒さと復興状況を身に沁みる思いで感じることとなりました。
前回と同じく、宮城県の山元町、南三陸町、石巻市を訪問し、「鍼灸治療」や「小児はり教室」を、そして今回は看護師のメンバーによる「アロマハンドトリートメント」も実施しました。
【活動概要】
3/23(月)
山元町
ささえ愛山元 10名施術
デイサービスの利用者さん、職員の方々への施術です。
ここ山元町では、復興公営住宅に移られたという方もおられました。
かといって、山元町の復興が特に進んでいるという訳でもないようです。(後日投稿します)
3/24(火)
南三陸町
入谷公民館
南三陸町ママサークル 親 6人
奏海の杜
職員・関係者 8人+ (子供 4人)
前回より小児はり教室のお子さんの人数は減りましたが、その分親御さんにじっくり鍼やアロマができました。
いつもお世話になっている「奏海の杜」のお子さんたちにも会えて施術もできました。
3/25(水)
登米市
奏海の杜職員 2人
石巻市
被災地障がい者センター石巻事務所
親 4人+ (子供 5人)
職員 2人
石巻では、前回は平日ということもあり親御さんだけ参加の親子小児はり教室でした。
今回は春休みでお子さんもご一緒に治療できて和やかな雰囲気で行なえました。
活動の詳細は、また今後の各メンバーの投稿記事をご覧下さい。
次回の訪問は9月の予定です!
(森川)
もうすぐ東北大震災から4年。厳しい寒さの中、仮設住宅暮らしも続いています。そんな被災者のお身体を癒すべく、また今年もはり灸レンジャーは活動致します。
前回に引き続き、被災地関連団体のご協力の元、「親子小児鍼教室」、「お灸教室」も実施致します。その場限りの施術だけでなく、セルフケアの普及にも力を入れて参ります。
【活動期間】
2015年3月23日(月)~3月25日(水)
【参加者】
吉村 早也香 (鍼灸師・サンリ治療院 勤務)
吉村 美陽子 (看護士)
西井 牧子 (鍼灸師・makiはり灸院 院長)
森川 真二 (鍼灸師・SORA鍼灸院 院長)
【活動予定】
3/23(月)
宮城県山元町
NPO法人ささえ愛山元
お灸教室&鍼灸治療
(登米にて宿泊)
3/24(火)
宮城県南三陸町
NPO法人奏海の杜
午前 親子小児鍼教室 (at 入谷公民館)
午後 鍼灸施術 (at 入谷公民館)
(登米にて宿泊)
3/25(水)
宮城県石巻市
被災地障がい者センター石巻
親子小児鍼教室&鍼灸治療
(森川)
はり灸レッド舟橋です。
先日のライトグリーン坂口の投稿で、石巻市で展開しているメンタルヘルスを担う団体「からころステーション」の説明がありました。その中でアウトリーチという言葉が出てきます。
医療や福祉業界では最近よく耳にする言葉ですが、まだ一般には聞きなれないかも知れません。カタカナ言葉、外来語が蔓延するのをお嘆きの方もいるでしょう。「訪問支援ってことでしょう?」と言いたくなるかも知れません。しかし、新しい言葉が浮上するには訳があります。通常の訪問支援というと、ニーズが確立され、たとえば訪問看護師や介護ヘルパーがお宅を訪問するという解釈になります。つまり医療・福祉サービス体制のメニューにきちんと乗っているものを指します。
一方、アウトリーチという場合、いまだサービスに乗りきらないケース、極端にいうとサービス利用を拒否している方も含めて、こちらから積極的に訪れる、というニュアンスがあるのです。SOSを出せる人は半分救われています。孤立感にさいなまれている方、なんらかの障害があり行政や医療・福祉機関にアクセスできない方などは想像以上に多く存在します。従来の行政のあり方では、申請主義と言いまして、困っている本人から依頼があったら対応するというのが原則です。しかし、今回の大震災が典型ですが、ただ福祉事務所で待っているだけではらちがあかないケースが本当に多いと思われます。
アウトリーチという言葉は「おせっかい訪問」と言い換えられるかも知れません。私たちボランティア活動も実は同様だと思っています。ボランティアの語源は自発意志による行動とされています。徴兵制で召集された正規兵ではなく、戦争時における義勇兵という意味合いがあります。からころステーションの高柳さんが、運営上、行政支援を受けつつもゲリラ的に自由に活動しているのが特徴と言っていたことを思い出します。
おせっかいは時に迷惑です。そこでアウトリーチやボランティア活動が立脚すべき点が、高柳さんが提唱する活動原則に集約されるでしょう。
・地元中心。
・迷惑をかけない。
・自分たちのルールを通さない。
・怒らない。
・文句を言わない。
震災から3年半が過ぎたいま、目に見える被害の爪痕は日に日に目立たなくなっていることを訪問のたびに感じます。ボランティア活動を終え地元に戻り周囲の人々に現地の状況を伝えるとき、以前より説明が難しいのです。それはまさに現地の方々が直面している困難さとも言えます。より一層現地の声に対して謙虚に耳を傾ける姿勢が必要なのでしょう。