今回はり灸レンジャー(以下レンジャー)の第3回能登訪問に参加した石川県の藤田です。初日
6/23(日)の一日だけでしたが参加させて頂きました。レンジャーに参加する!という気持ちはもち
ろんあるのですが、石川県に住んでいますのでレンジャーを迎え入れる、という気持ちもあります。
そのため今回はいろいろ不安材料がありました。この前日に石川県は梅雨に入り、そしていきなり警
報級の大雨という予報。初日に訪問する輪島市三井は山間部にあり(冬になるといつも石川県の最低
気温を記録します)、土砂崩れでも発生して道路が通れなくなると行けない、あるいは帰れないとい
うことも?大雨の中施術を受けに来る人はいるのだろうか?当日大雨で関西や東海方面からの列車が
運休にでもなったら、もしかして自分ひとりで?そうなったら頭数合わせで私の奥様と二人のお嬢様
(高2と中3)をうまく騙して連れて行くか?奥様は言語聴覚士なので口腔ケアや誤嚥予防などいろい
ろ役に立つが、お嬢様方はスマホと前髪ばかり触っているので役に立ちそうにないし。そして今回は
百戦錬磨のベテラン女性鍼灸師3名が参加されるということで全く心配はないはずなのに、なぜか一
抹の不安が、、、、。
結局これらの心配事は杞憂に終わり、2日間の第3回能登訪問は無事終了しました(私の参加した初
日は無事に終了しましたし、2日目もおそらく大丈夫だったのでしょう?)。
初日に私が施術させて頂いた方々は肩や膝が痛い、という訴えが多かったように思います。能登と
金沢を頻回に往復されている方、倒壊した建物の後片付けや泥の処理をされている方。それらの疲労
の蓄積によるものだと考えられます。被災者の方々は今後さらに精神的及び肉体的疲労が長期化し、
様々な症状が顕在化してくるのではないでしょうか。
福島県の安達太良連峰のふもとにある二本松青年海外協力隊訓練所。30年ほど前、3ヶ月間ここで
缶詰め状態で過ごしました(この時に阪神淡路大震災がありました)。その入り口には”無事カエル
”という蛙の像があります(気をつけて池(行け)という池もあります)。ボランティアとしての活
動はボロボロでもいいが、とにかく無事帰って来い!とでも言っているのでしょうか。ボランティア
たるもの、肝に銘じておかなければなりませんね。
今回もJOCAさんによる事前のビラ配りや宣伝、そして何よりもJOCAさんと被災者の方々との信頼
関係のおかげで活動が円滑に行われました。ありがとうございました。
今回の訪問の数日前にボランティアの方と地元の方との交通事故があり、不幸にも地元の方が亡く
なられるというニュースがありました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
最後になりましたが、被災地の一刻も早い復旧復興、被災された方々の健康、そして明るい未来を
祈っております。
6月23日〜24日、災害支援ボランティア・はり灸レンジャーとしての輪島での3回目の鍼灸ボランティア活動を行いました。
発災から半年が過ぎ、一部地域で復旧が遅れていた水道もようやく使えるようになりました。
私たちが活動した避難所も、お手洗いが使えるようになり、長期間不自由な生活によく耐えてこられたと頭が下がる思いがしました。
長い避難生活から仮設住宅へ移られる方も増えホッとされておられる反面、お住まいから外出される機会が減り、不調を訴えられる方がとても多いのが気になりました。
仮設住宅はプライバシーは守られるものの、孤立が課題のひとつに挙げられます。
輪島市内は朝市をはじめ被害も大きく、多くの方から「行くところがないから家から一歩も出ない」と伺いました。家に篭りがちになり歩かなくなると筋力も衰え気力も湧きにくくなります。
このようなタイミングで輪島に治療に伺えたことは良かったと思います。
治療後、晴れやかなお顔になられた方々を拝見し、少しは皆さまのお力になれたのではないかと嬉しく思いました。
2日間で治療をさせていただいた、おひとりおひとりに様々な背景があり、背負われている物の大きさに言葉を失う事も多々ありました。
共通しているのは、大変な環境下にあっても、「私より大変な方は沢山いるから、私のしんどさは大したことない」と思われ、頑張られておられること。
いえいえ、皆さまのお身体からは悲鳴が聞こえていましたよ…
どうぞ1日も早く、穏やかな日常が戻られます様に、と祈るばかりです。
金沢から輪島へ続く「のと里山海道」や一般道は急ピッチで整備が進んでいました。今までは道が混むから通勤も大変だとよく伺っていたので、少しでも渋滞が緩和し、復旧が進むことを願っています。
しかし発災から半年近く経ち、復旧が進むにつれ支援も手薄になってきています。
仮設住宅に移られた後も、引き続き見守り支援をされているJOCA(青年海外協力協会)さんの手厚いサポートにより、今回も充実した活動をさせていただきました。
誠にありがとうございました。
(西井)
はり灸レンジャーの中村です。
はり灸レンジャーとしては3回目、個人的には3月に続き2回目の能登での活動参加です。
まだ雪がちらつくこともあった(帰り道は吹雪だった)前回とは異なり、動いていると汗ばむくらいの気温。
地元の方とも、「(夏が近づいてきて)刈っても刈っても伸びてくる草との戦いが…」なんてお話で盛り上がり
時間が進んでることを感じました。
避難生活の状況も大きく変化しています。
3月時点では多くの方が避難所生活を送っていましたが、6月現在は大半の方々が仮設住宅に移り生活を始めていました。
避難所になっていた学校や公民館も、少しずつ本来の活動を再開している…なんてお話も伺うことができました。
そんな中、体のお困りごとの内容も変化しています。
今回、私が施術させていただいた方達の半数以上が膝・腰の痛みを訴えており、その理由として多く上がったのが「活動量の低下」。
仮設住宅へ移り、引っ越しや片付けが(満足にとはいかないもののある程度)落ち着いてしまうと、もうやることがない…
仮設住宅はワンルームのような作りで狭いため、一軒家に住んでいた頃と比べて全然動かなくなった。
以前は庭や畑の世話をしていたが、仮設住宅には世話する場所がない。だから一日中家の中でじっとしている。
そんなお話を多く伺いました。
1日目の三井公民館訪問時は雨だったのですが、ある方が「こんな雨の日は本当にやることがなくて、狭い仮設住宅の中でじっとしているだけなのが辛い。だからこういう(はり灸治療ボランティアのような)催しがあってありがたい」とお話されていたのが印象的でした。
こうした動きたいのにやることがない、という方達の力を活かせる場や機会がこれから増えていくといいな、と強く思いました。
また、今回も現地で常駐して支援活動されているJOCAの方が積極的に呼びかけてくださったおかげで、多くの方が施術を受けにきてくださいました。
その他、受け入れてくださった公民館の運営スタッフの方をはじめ、たくさんの人や団体にご協力いただいたおかげで、
地元の人達に安心してはり灸治療を受けていただくことができているのだと改めて感じました。
この信頼のバトンをつないでいけるように。微力ながら、できることをやっていきたいと思います。
今回ご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
はり灸レンジャーイエロー 中村真奈美
<施術時間・場所>
6月24日(月)10:00~14:30・河原田公民館(輪島市西脇町)
<参加者>
鍼灸師 3名〔中村(岐阜県), 西井(兵庫県), 森川(兵庫県)〕
<受療者>
15名
<対象>
仮設住宅入居者、避難所、近隣の被災者(被災者支援)
現地職員(支援者支援)
<活動内容>
鍼灸施術
セルフケア用品の無償配布(希望者)
<日程>
7:45 志賀町 出発
9:20 輪島市 河原田公民館到着
10:00~14:30 鍼灸施術
15:00 撤収、輪島市内視察後、金沢駅へ向けて出発
18:00 金沢駅にて解散
<詳細>
河原田公民館は4月にも訪問している。
こちらもJOCAさんの事前サポートがあった。
5名(内スタッフ2名)は、4月の訪問時にも施術を受けられた方だった。
また、前日に三井公民館で施術を受けた方も「とても楽になったから」とお一人来られた。
河原田公民館ではスタッフの方も鍼灸を気に入ってくださり、はり灸レンジャーの再訪も望まれている。
この公民館では、11人の方がまだ避難生活を送られている。
休みを取れない職員の方もおられ、疲労が気になる。
回りのスタッフの方も心配されていた。
現地では最近の地震のため、40キロ規制の道路が続き、移動に時間がかかった。
ただ、道路は補修が進み、4月の訪問時より走行しやすくなっていた。
輪島朝市周辺では崩れた家々やビルはそのままの所が多い。
火災現場は撤去作業に入っていたがまだ多くの壊れた建物が残っている。
震災で近くの学校に通えなくなり、再開した学校に通うため、スクールバスが運行されていた。
お子さんが新しいコミュニティに馴染めず、悩む親御さんもおられた。
これを期に学校の統廃合が進むという噂も聞かれた。
(報告者:森川 彩子)
<施術時間・場所>
6月23日(日)13:00~17:30・三井公民館(輪島市三井町)
<参加者>
鍼灸師 4名〔藤田(石川県), 中村(岐阜県), 西井(兵庫県), 森川(兵庫県)〕
<受療者>
19名
<対象>
仮設住宅入居者 、避難所、近隣の被災者(被災者支援)
現地職員(支援者支援)
<活動内容>
鍼灸施術
セルフケア用品の無償配布(希望者)
<日程>
9:30 金沢駅 出発
11:00 河北郡内灘町視察
12:00 輪島市 三井公民館到着
13:00~17:30 鍼灸施術
18:00 撤収後、夕食に立ち寄り、宿泊先へ
20:00 志賀町のホテルにチェックイン
<詳細>
今回も、青年海外協力協会(JOCA)さんの協力で事前にチラシ配りやアナウンスがあったので、多くの方に施術を受けて頂けた。チラシをもって来られる方もいた。
施術を受けた方が、良かったからと声掛けをしてくださり、家族や友人も来てくださった。
仮設にお住いの方も、少し離れた自宅の方もおられたので、地域の繋がりを感じた。
三井公民館には、まだ避難されている方が生活されていた。
多くの方は三井の仮設住宅に入れていたが、知り合いもいない遠くの仮設が当たる方もおられた。
お体が不自由だと行動範囲も限られ、コミュニティに入れるか不安もある様子だった。
鍼灸未経験の方が多い。
全体的に血圧が高め。
多くの方が平常の計測より高めだったようで、測り方やタイミングにも問題があったかもしれない(会場が階段を上がった2階にあるなど)。
小さな仮設に移り、便利になったが、動くことが減ったという声も多かった。
河北郡内灘町西荒屋地区は、金沢にほど近くにあるが、ここだけ液状化で大変な被害が出ていた。
震災で忘れ去られた地域ともいわれ、支援が遅れている様子。
傾いたままの家や電柱がそのままあり、住宅地であるのに、人の気配がとても少なかった。
今回志賀町の宿泊施設が営業を再開されたので、宿泊することができた。
近くの飲食店も営業されていて、この活動ではじめて温かい食事を頂いた。
輪島からは1時間強かかるが、温かいお風呂と食事は大変有り難かった。
(報告者:森川 彩子)