5年振りの南三陸町

こんにちは。レンジャーピンクの森川彩子です。

先日、コロナで暫く訪問できなかった東北、南三陸へ5年ぶりにお伺いしました。

5年前はスケジュールが合わずにお伺いできなかった、登米市の『奏海の杜』(交ゆう館かなみ)のスタッフの4人の方に施術させていただきました。
『奏海の杜』が新しい拠点になってからはじめての訪問でした。

震災の翌年から施術を受けて下さっている方にもお会いできて、8年ぶり10回目の施術をさせて頂きました。
施術を楽しみに待っていて下さってとても嬉しく思いました。
ご自身やご家族、以前スタッフだった方の近況もお伺いできました。
当時中学生だった娘さんが結婚されて、お孫さんも生まれた、という嬉しいニュースも聞けました。

南三陸は津波によって町がまるごと無くなってしまった程の被災があって、印象に残る土地です。
今、住人の方々の多くの家は高台の登米市に移されています。

南三陸には新しく『追悼モニュメント』、『南三陸311メモリアル』が造られていました。
土地を高く盛り上げた場所にあるモニュメントに立つと、町はなく、海まで見渡せます。
ここに商店街があり、家々があり、仕事があり、暮らしがあったんだと、改めてこの土地の悲しみが想われます。

『南三陸311メモリアル』での映像展示は、災害を自分事として考えられるよう工夫されていました。
正解はないが、災害に遭遇する場所やタイミングで何が起こりそうか、何ならできそうか、なるべく具体的に想像して欲しい、というメッセージが伝わりました。

南三陸の風景は、雨がちのお天気もあってか、まだ深すぎる傷をみるようでしたが、整備されたばかりなので、これからはもっと馴染んでゆくのかもしれません。
季節の花が咲いたり、近くのさんさん市場の賑わいができたり。

『奏海の杜』のスタッフさんに「また来てください!」と声をかけて頂きました。
今回はスタッフの方だけでしたが、「利用者の子ども達にも鍼灸は良さそう」と期待も持たれていました。
13年経ちますが、いつなら癒えたといえるのかわかりません。
鍼灸を待っている方もおられます。
たくさんの方の想いや知恵や工夫で新しくなっていく南三陸にまたお伺いしたいと思います。

かなみのもり

第19回東北訪問概要

5月27日(日)宮城県 南三陸町・登米市

<場所>
NPO法人 奏海の杜(交ゆう館かなみ)

<施術時間>
12:30〜15:00

<参加者>
鍼灸師 2名〔森川×2(兵庫県)〕
調整員 1名

<受療者>
4名

<対象>
現地職員(支援者支援)

<活動内容>
鍼灸施術

<詳細>
仙台で開催された鍼灸学会への参加に合わせて、コロナ禍前の最後の訪問地であった南三陸町に5年ぶりにお伺いしました。
今回は鍼灸師が2人なのでコンパクトな活動となりました。

まず25日〜26日、仙台国際センターで開かれた全日本鍼灸学会に参加。
災害時における鍼灸支援の「現状」として、はり灸レンジャーの長期的支援についての発表を行いました。

鍼灸学会シンポジウム発表

翌27日レンタカーで南三陸へと向かい、新しく建設された南三陸311メモリアル、追悼モニュメント、旧防災対策庁舎のある「南三陸町震災復興祈念公園」を視察。

総合防災庁舎

高く土地が盛られていて、元の位置に遺された旧防災対策庁舎がとても低く感じました。
5年前は工事中だったので風景は様変わりしています。
遺族の方は、庁舎の取壊しを望まれましたが、宮城県の管轄となり、遺される事が決まったようです。
私たちにとっては、津波の恐ろしさを知ることが出来る貴重な遺構となります。

南三陸町総合防災庁舎

南三陸311メモリアルのプログラムや展示は、震災が起きたら何ができるのか、自分事として考えられるように工夫されていました。
被災された方にとっては、当時を思い出すつらい内容かもしれません。
災害を経験したことがない人にとっては、防災や訓練の大切さ、人の命の尊さを実感できる内容です。
南三陸町を訪れた際は、是非、体験して欲しいプログラムでした。

南三陸311メモリアル

続いて、5年前はスケジュールが合わず伺えなかった『奏海の杜』の「交ゆう館かなみ」にお伺いしました。
新しい拠点に移られてから、初めての訪問です。

にこまーる

今回は平日昼間ということもあり、放課後デイの子どもたちはおらず、スタッフの方4人の施術をしました。
初めての方も2人おられましたが、鍼灸の効果を感じて喜んで下さりました。
セルフケアもしっかりお伝えすることができました。

奏海の杜「交ゆう館かなみ」

2012年から施術を受けて下さっている懐かしい方にもお会いでき、8年ぶり、10回目の施術をさせて頂きました。
近況もお伺いできて、とても嬉しかったです。
震災当初は鍼灸の経験もなく、コワゴワでしたが、今では楽しみに待ってくださっていました。
ご家族へのセルフケアもお伝えできて良かったです。
これを機に、またコロコロしていただきたいと思います。

今回の訪問は、震災から13年が経ち、被災地支援とは言えないのかもしれません。
それでも訪問を待ってくださる方がいて、私たちも会いたいと思う、そんな関係性があります。

これからも顔の見える繋がりを大切にしていきたいです。

(森川)