被災地東北の変化と新たなつながり

はり灸レンジャーブルーの森川です。今回は被災地の変化と新たなつながりを感じました。少し長くなりますが、3日間の感想とまとめを。

2013/9/14(土) [一日目]  山元町

朝、仙台駅で前回と同じ待ち合わせ場所でメンバーと合流(仙台駅前も馴染みのものです)。レンタカーを借りて、宮城県南部の山元町へ。活動当初から訪問している「ささえ愛山元」に向かいます。ただ、今回向かうのは高台へ移転した新しい事業所(デイサービス)です。

少し迷いながらも到着。当日は近隣の仮設住宅の人も集まる「パラソル喫茶」と重なり、多くの人が待ち構えておられました。治療も、施術者2人で患者さん22人と、夕方まで大盛況でした。スタッフの方をはじめ、鍼灸の常連さんもおられ、熱がこもります。

治療後に、はじめて訪れたメンバーと共に山元町を巡りました。毎回訪れるのが、写真の山下駅。海岸沿いを走る常磐線は、線路も、駅も、その回りの町ごと流されてしまいました。2年前にはじめて訪れたときは、一面見渡す限りの荒野といった感じでした。それが、次第に雑草が生えだし(塩害のため作物は土を入れ替えないと育てられません)野原が一面に広がっている感じがありました。それが今回、新築の住居や、ビニルハウスなども目立つようになりました。少しずつでもやっと復興が進んでいるんだなと思って帰ってきました。

しかし、まだまだポツンポツンとしか建っていなくて、町は戻っていませんでした。駅が無くなれば、駅前の人通りもありません。その常磐線がどうなるものかと調べてみると、次のような記事を見つけました。

河北新報ニュース
第16部・孤立(2)危険区域/再起の決意、報われず 鉄道移設、廃れるまち

記事によると、常磐線は内陸に移ることが決定しています。さらには沿岸部にある駅周辺は、危険区域というレッテルも。山下駅の前にある商店にそのような事情があったとは知らず。被災地復興の深刻さをまた知りました。

2013/9/15(日) [二日目] 気仙沼市

二日目は、今回初訪問となる、気仙沼市へ。メンバーのつながりで、NPO法人「森は海の恋人」の皆さんに終日お世話になりました。
「森は海の恋人」とは、
『自然の「環」から、人の「和」を育てよう!』をキャッチフレーズに、環境教育・森づくり・自然環境保全の3分野で活動する特定非営利活動法人です。(HPより)
豊かな海を育むには、そこに流れる川と、豊かな森も必要なのです。牡蠣の養殖のために、植林活動をも行なわれています。
苗字が「森川」、大学で農学部を専攻していた私としては、大変興味のある団体でした。(実際、お話もとても興味深いものばかりで、楽しい一日でした!)

その職員さんの紹介で、まずは中井小学校仮設住宅に訪問。20戸以下の小さな仮設住宅でしたが、元々居住者の皆さん顔見知りのような近隣の方が集まられていました。少人数でしたが、のんびりとゆっくりした雰囲気の中、治療を行なうことができました。

お昼は「森は海の恋人」の方にお世話になり、午後からは、旧唐桑小学校仮設住宅に訪問。集会場に到着するや、治療を待たれている人がすでに並ばれていました。ここからは施術者も4人に増え、またじっくり治療を行なうことができました。狭い仮設住宅暮らし、震災後の重労働(土木関係の一時的な仕事に就かれている方も多いです)など、やはり震災前後の生活の変化とこれから先の生活の不安に、大きなストレスを感じられているようでした。震災時のショックもさることながら、これから先の不安や心配は、現在進行形です。肉体的にも大きな負担が診られました。

そして、夕方はお世話になりっぱなしの「森は海の恋人」の職員や関係者の方々の治療を。被災地で頑張られている方々自身も、もちろん被災者なのです。

たった1回の治療では限界もあり、セルフケアもどこまで役立てるかは、その後次第です。また改めて、ご訪問できることを約束して、お別れしました。

2013/9/16(月) [三日目]  南三陸町

大型台風18号が日本を縦断する中、最後の三日目を迎えました。午後に東北地方に再接近し、帰りの交通機関も乱れる予測から、当初の予定を変更して午前中の活動で切り上げることにしました。

午前中訪問したのは、入谷福祉仮設。今回で7回目の訪問になり、もうお馴染みです。そして雨(嵐)も、もうお馴染みです。(この南三陸にお邪魔するときは、とにかく悪天候が多いのです…。)

もう治療が6回目の利用者さん、職員さんもおられました。そのうちの利用者Mさん。1回目も私が治療を担当しました。2年前の同じ9月でしたが、そのときは足が特別冷たかったのを覚えています。被災されて、施設に移ってきてすぐだったと思います。そのときに比べると、今回の治療では、随分足が温かくなっていると感じました。一ついい変化を感じることができた治療でした。複数回の訪問と、セルフケアが、少しは役立っていると思います。

あと、ここの職員さんはとても楽しくされています。それにつられて、利用者さんも笑顔に。職員さんも被災され、仮設住宅暮らし、つらい思いもされています。それでもこうして人を支え、そしてまた支えられ。とてもいい関係だと実感できました。そして職員さんの話では、ここも来年には新しく施設として再建されるとのこと。少し希望も感じられる今回の訪問でした。

また、南三陸ではいつもお世話になるNPO法人「奏海の杜」。こちらもいろんな困難を乗り越えながらも、再建に進んでいます。被災地では、建設ラッシュで資材や建築費の高騰などのバブルがおきています。残念なことではありますがそれが現実。まだまだ大変ですが、いちサポーターとして、何かお手伝いができたらとまたの訪問をお約束しました。

被災地が変化していく中で、私たちボランティア側もどう変化していくか?無償のボランティアが被災者の自立を妨げるとも言われますが、この被災地の状況を見れば(全てを見ているわけではありませんが)、まだそんなことは言えないと思います。まだつらい状況の中でも、懸命に頑張られています。それでもまだ先が見えない人もおられます。その苦労を少しでも分かち合えるように、まわりの協力もまだまだ必要なんだと思います。そんなこんなで、はり灸レンジャーの活動もまだ続きます。
(森川)

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