はじめて被災地の東北を訪れたのが、去年のゴールデンウィークでした。あれから1年、今回で4回目の訪問となりました。被災地の復興にはまだまだ時間がかかり、新たな不安も感じるようになりました。
5月2日(水) 山元町
朝一の飛行機で仙台空港に到着。前回の訪問から1ヶ月あまり、4回目の訪問となると、仙台の町並みも、もはや見慣れた景色となりました。仙台駅で今回初参加のメンバーとも合流。レンタカーを借りて、山元町へと向かいます。
訪問先付近は、津波に流されて建物もぽつぽつ、ナビにも出てきませんが、迷うことなく時間通りに到着。今回で3回目の訪問となる「ささえ愛山元」の職員さん、デイ利用者さんとも顔なじみになってきました。「また来ましたよ!」という感じです。治療を楽しみに待って下さる方もおられ、こちらも嬉しくなります。
職員さんから改めて被災当時のお話や、今の状況をお伺いしました。同僚やご家族を亡くされた方もおられます。そんな状況でも皆さん笑顔でデイサービスを再開されています。厳しくつらい中でも希望を持って過ごされている姿を拝見すると、心を打たれます。できることがあれば、それが希望となって頑張れるのかもしれません。逆に希望が見つからない人にとっては、厳しすぎる現状です。どんな形でもいいので、何かお手伝いできればと思います。
5月3日(木) 南三陸町
前々回の9月の訪問と同じく、悪天候でした。台風の次は、春の嵐です。床下浸水で避難勧告や、道路が冠水して通行止めになるぐらいの豪雨でした。被災地の道路環境の悪さや、地盤沈下、上下水道の不整備といった問題を、実感することになりました。雨水だけでなく、海水によるもので、車が錆びてダメになるなどの塩害もあるとお聞きしました。津波の被害が多岐にわたることを感じます。
この日の活動は、被災地障がい者センターみやぎ県北支部のお世話になり、福祉仮設の利用者さんや職員、スタッフの方の治療を行ないました。また、スタッフのご家族の方の様子もお伺いして、セルフケアの方法をお伝えしました。
現地で働かれている職員スタッフの方も被災者です。ご自身の生活やご家族の心配を抱えながら、頑張られています。その苦労は、身体からも伝わってきました。実際、最近になって大きく体調を崩されたり、不眠も訴えられています。被災直後は、緊張状態で持ちこたえていたかもしれませんが、ここにきてどっと疲れが出て、崩れてしまわないか心配です。ときにはこのように張り詰めた緊張を緩めるためにも、鍼灸が役に立てばと願います。
まだまだ長い目で見なければいけない復興。こういった震災ストレスは目に見えないものですが、これからより表面化してくるのでしょう。普段弱音を吐かずに気丈に振る舞っている方のほうが、心配です。
5月4日(金) 南三陸町→石巻
午前中は山間にある名足仮設で治療を行ないました。名足仮設は2回目の訪問ですが、今回はじめての初診の患者さんがほとんどでした。前回の訪問は平日だったため、仕事に行かれていないお年寄りの方が多かったのですが、今回は祝日ともあって若い方もお見えになりました。再会できる喜びもありますが、また新しく鍼灸治療やセルフケアを知ってもらえることも、嬉しく思います。
午後は、被災地障がい者センターみやぎ石巻支部の事務局にはじめてお伺いしました。石巻は、震災直後に訪問してからちょうど1年ぶりの訪問です。時間がなく街並みを拝見することはできませんでしたが、また次の活動へとつながりそうなお話を聞くことができました。掘り起こせば、いくらでもニーズは出てきそうです。
(つづく 森川)