被災地での心身ストレスの差

はり灸レンジャー・ブルーの森川です。

被災地の復興状況は各地で異なります。
復興住宅に入居をされたという方にもお会いしましたが、まだまだ仮設住宅の暮らしを続けられる方がほとんどでした。

とりわけ印象的だったのが、今回被災地のNPO団体職員の方に教えて頂いた、心身ストレスの差です。

「<震災4年>心身ストレス 昨年より改善」
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201503/20150310_13055.html
(河北新報 2015.3.10.)

 心のストレスの変化

同じ被災地でも復興に差が出ることはもちろんですが、心身のストレスの変化にも差があるということです。
(この心身ストレスがどういう内容か、どういった対象者かなどは気になりますが)

奇しくも、私たちはり灸レンジャーが当初から訪れている、南三陸町、山元町は、悪化しています。
目に見える復興だけでなく、こういった実態が被災地の内情を表しているのではないかと思います。

実際その心身ストレスの悪化した町で、復興住宅に移られた方を治療しお話を伺いました。
他の地域よりも早く喜ばしいことかと思いましたが、環境の変化もあって体調は思わしくないとのことでした。

道路や町が復興し、仮設住宅から出られたからといって、それで安心ということもありません。
それは阪神大震災の教訓からも言えることでしょう。

今後もこのご縁のある地で、微力ながらもお力になれればと思います。

2015/04/05 追記


(今回の新聞記事の全文です。)

<震災4年>心身ストレス 昨年より改善

東日本大震災の発生から4年を前に、河北新報社と東北大災害科学国際研究所は、宮城県内で被災者アンケートを行った。震災2年目に始まった継続調査は、時間の経過に応じて復興の段階を把握する試みだ。調査の設計と集計を担当した災害研の佐藤翔輔助教(災害社会情報学)の分析を交え、被災者の意識の変遷を探った。

◎心身ストレス

心身ストレスは前年に比べて改善傾向を示した。「心のストレス得点」は平均13.7点で前年から1.7ポイント、「体のストレス得点」は平均10.6点で0.6ポイント、それぞれ持ち直している。
心と体の状態を計る各6項目について直近1カ月の実感を5段階で評定してもらった。評定を点数化し、心と体のストレス得点を各30点満点で算出した。点数が高いほどストレスは強くなる。
心のストレス得点が高いのは、山元町(15.4点)、南三陸町、七ケ浜町(ともに15.0点)など。この3町では数値が前年より悪化している。
体のストレス得点は高い順に、女川町(11.8点)、山元町(11.6点)、東松島市(11.3点)、石巻市(11.2点)、南三陸町(11.1点)だった。

<分析/公的支援の格差関係か>
津波による家屋の被災程度別に被災者を分類すると、心のストレスが最も弱かったのは「床上浸水」だった。逆に「床下浸水」は非常に強いストレスを感じていることが分かった。公的支援には浸水の程度で差がある。その境界線がストレスと関係しているのではないか。

 


(2年前の 調査内容が記載してあった震災後2年の新聞記事です)

(2013/3/10 河北新報)

心身ストレス改善せず 本社・東北大が被災者アンケート

河北新報社は東北大災害科学国際研究所と共同で、東日本大震災の被災地の現状を把握するため宮城県沿岸12市町の被災者1150人を対象にアンケートを実施した。震災から11日で2年。被災者の心と体の状況は1年前の前回調査時から改善せず、なお強いストレスを感じている実態が明らかになった。生活の復興感はインフラなどの復興状況よりも、心や体のストレス、地域コミュニティーの充実などに大きく左右されることも分かった。
調査では「気持ちが落ち着かない」など心の状態と「動悸(どうき)がする」など体の状態それぞれ6項目について、最近1カ月の実感を「全くない」から「いつもあった」まで5段階で評定してもらった。
5段階の評定を1~5の得点として合計し、回答者数の1150で割って心と体の「ストレス得点」を求めた。その結果今回の心のストレス得点は14.17点、体は10.15点だった。
昨年2月、同じ12市町で1097人を対象に実施した前回調査と比較すると、心は1.27ポイント向上し、体は0.08ポイント悪化した。いずれもごくわずかな増減幅にとどまり、この1年間で目立った改善は見られなかった。
項目別で「たびたびあった」「いつもあった」の合計が高いのは、心では「何をするのもおっくうだ」23.2%、「気持ちが落ち着かない」21.7%、体では「頭痛、頭が重い」12.4%、「のどが渇く」12.0%だった。
市町別に見ると南三陸町と岩沼市では心の状態が3ポイント以上改善し、逆に気仙沼市や女川町などで悪化した。体については仙台市や山元町などでは向上したが東松島市などでは前回より悪くなり、被災地間で差が出た。
生活の充実度などから算出した「生活復興感得点」は39.60点。これも前回の39.32点からほとんど変化がなかった。
生活復興感得点を分析すると、心のストレス得点のほか、「収入」「仮設住宅での近所付き合い」「体(健康)」の各不安度と強い相関関係があることが判明した。
名取市の場合、住まいの再建・移転に対する不安度や地域の復興スピードへの評価は低い半面、近所付き合いや収入の不安度が比較的少なく、生活復興感を押し上げる大きな要因となった。
一方、心のストレス得点が高い東松島市や、近所付き合いの不安度が高い亘理町、収入や仕事への不安度が高い多賀城市などは、復興状況への不満は少ないのに生活復興得点は伸びなかった。

[調査の方法]2月3~27日、気仙沼、石巻、東松島、多賀城、仙台、名取、岩沼7市と、南三陸、女川、七ケ浜、亘理、山元5町の仮設住宅に住む被災者を対象に実施した。調査員による聞き取り、配布回収で計1150人から有効回答を得た。男女比は男性34.3%、女性62.1%。年代別は20代4.2%、30代9.2%、40代12.1%、50代14.5%、60代25.5%、70代22.2%、80歳以上4.6%。調査会社のサーベイリサーチセンター東北事務所が協力した。

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