東日本大震災ボランティアを経験して

2011年5月3日~5月5日の3日間、先輩鍼灸師である舟橋先生を頼って、つながりのある被災地障害者センターみやぎを受け入れ団体とし、障害者支援のボランティアに参加させていただきました。今回は日程が短く、参加活動は少ないものでした。

1日目 仙台市内の避難所におられる発達障害のお子さんと遊ぶ。
2日目 石巻市、女川の避難所を訪問。初日の避難所を再訪し、お子さんと遊ぶ。
3日目 被災地障がい者センターみやぎの事務所での雑務、スタッフの方への簡単な治療、宿舎の掃除。

今回の活動は受入れ団体であるセンターの障がい者支援業務を主としました。障害者支援の活動は“困ったを見つける”仕事でした。その視点は鍼灸師としても大変必要で、とても参考になりました。

仙台市の避難所
発達障害のお子さんがいるご家族と、発達障害と知的障害のお子さんと、同じく知的障害が疑われる親御さんのご家族の2世帯が1つの部屋で避難生活をされていた。今回はお子さんと遊ぶことの他に鍼灸師としては親御さんと話す事がとても必要であったと感じる。なれない避難生活に加え、障がいのお子さんのケア、フォローをされているお母さんの疲労は大変なものだった。日常生活の大変さで精いっぱいで、自分の体の不調は後回し。お話をする中でやっとぽつぽつからだの不調の話も出てきた。同性であることで女性ならではのからだの不調を話しやすいということもあった。まず足を痛めておられたのでその場で簡単なツボ刺激をし、セルフケアを提案すると興味を示される。そのほかの不調もお持ちで、それにはどんなツボが効くか?という質問も出てきた。からだはつながっていることを説明し腹部内臓のケアを提案すると、横になり、腹部の反応を診せてくださった。ホルモンバランスや自律神経の安定につながるツボ刺激も提案する。

石巻市
被災された障害をお持ちのご家族を訪問。すでに何度か訪問があり、今後の提案などお話をうかがう。大阪からのボランティア17人ががれき撤去をされていた。皆で一斉に片付けが進むことでご家族の顔も明るい様子だった。ホッとされた時に疲れが出る。がれきがなくなってもすぐに住めるわけではない。今後の体のケアが心配になる。

女川
目的のご家族が外出中でお会いできなかった。避難所の方とお話をする。年輩の方はわりとご自分の話もしてくださるので体の不調も見つけやすいと感じる。簡単なセルフケアを提案する。

障がい者センターみやぎ 事務所
事務所のスタッフの方は休みなく働いておられる。ゴールデンウィークでボランティア受け入れの業務も加わっていた。疲労は大変なものであろうに、穏やかに、またにこやかにされていたのが印象的だった。スタッフや働くボランティアへのケアも必要だと強く感じる。
雑談の中でからだのコリや疲れの話になり、鍼灸に興味をもたれるが、仕事が山積みなので治療に時間がかかるのも心配な様子だった。円皮鍼を出して簡単なケアをすると、短時間だったこと、貼るだけで効くこと、自分のコリをみつけてもらえることなどに興味を示される。
他のスタッフの方の反応も診せてもらい円皮鍼やローラーで簡単な治療をする。必要なツボ刺激の提案をする。

感想
鍼灸は痛みや不調に大変有効であるが、鍼を使うこともあり、マッサージと違って気楽に受けたくなるものではありません。そして被災地は遠いために継続的なケアが難しい。鍼を使わなくてもできる簡単なセルフケアは気軽にできるし、継続的なケアになります。相手のニーズに沿っていたと感じます。これからの長い毎日のために、ささないローラー針やお灸、手でさする皮膚刺激が有効です。ご本人だけでなくお子さんやご家族に必要なケアを提案していきたいと思います。

今後鍼灸師として被災地のために何ができるのか知るために今回の活動が大切な足がかりとなりました。特に障がい者支援の“困ったを見つける“という視点、姿勢には大きなヒントをもらいました。
体の不調をとると心もすこし軽くなる。不調をとる機会を少しでも多くの方に経験してもらいたいと強く思います。

最後に、このような機会を与えてくださった舟橋さんをはじめ関係者の皆様に心から感謝いたします。ありがとうございました。

彩はり灸院 竹原彩子

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