今回はり灸レンジャー(以下レンジャー)の第5回能登訪問に参加した石川県の藤田です。今回は9/15(日)の初日のみ参加させて頂きました(フル参加2回、半分参加2回、金沢駅で手を振ってお見送り1回)。初日の活動場所はレンジャー初訪問となる輪島市中心部にある宅田町第2仮設団地でした。この仮設団地の近くには公共施設やスーパー、ドラッグストア等があり生活の利便性が良く、またこの仮設団地の集会所は様々な催し物を行うには十分な広さ、設備がありました。初日は能登地方を中心に雨が降り、時折強く降る時間帯もありました。そして土砂災害警戒情報も出ましたが、そのような状況でも多くの方々が施術を受けに来られました。今回も睡眠に関する悩みを抱えながら生活、あるいは仕事をされている方がみられました。精神的及び肉体的に常に緊張していて力がなかなか抜けず、抗不安薬を離せない方も。患者さんとは睡眠に関する話はし易いですが、抑うつ状態などの精神的疾患の話はし難いですね。鍼灸でそれらの症状を少しでも軽減出来ればうれしい限りです。
今回もJOCAさんによる事前のチラシ配布やアナウンスメント、そして当日のサポートのおかげで活動が円滑に行われました。いつもありがとうございます!
第5回能登訪問の後、能登地方は大雨による甚大な被害を受けました。平地の少ないこの地域では仕方のないことなのですが、ほとんどの仮設住宅は洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地しており、今回初日に訪問した宅田町第2仮設団地においてもすぐ近くを流れる河原田川が氾濫し床上浸水となりました。そのため入居者は仮設住宅から避難するという前代未聞の事態となりました。施術を受けに来られた方々の中には、仮設住宅に入居して間もない方、日常生活動作にやや難のある方、仕事をしながら頑張って生活をされている方、その他いろいろな境遇の方がいらっしゃいました。皆様のご無事を祈っております。またこれまでに訪問したことがある河原田公民館や三井公民館もすぐに避難所として再び開設されました。能登地方において数千年に一度の大地震、そして今まで経験したことのないような豪雨による災害(ハザードマップ作成時の想定し得る最大規模の降雨、つまり千年に一度の降雨を超えていた)が同じ年に発生するとは誰が想像出来たでしょうか。「盲亀浮木」の話が頭をよぎりました。
復旧が少しずつ進み、これからは復興だ!という矢先でした。再び被災された方々のこれからの生活や心情、察することは甚だ困難ではありますが、この稀にみる苦境を何とか乗り越えて頂きたいと願っております。
盲亀浮木(もうきのふぼく)
お釈迦様が語った例え話。果てしなく広がる海の底に盲目の亀がおり、その亀は百年に一度海面に浮かび上がり顔を出す。その時たまたま浮遊していた丸太の棒(浮木)に当たり、そしてその浮木にたまたま空いていた小さな穴に盲目の亀が頭を突っ込む。滅多に起こらない、極めて低い確率の偶然性を表す比喩。