ブルーの森川真二です。今回の訪問では、個別の鍼灸治療に加え、新たな試みとして「お灸教室」と「小児鍼教室」を実施しました。はり灸レンジャーが当初から力を入れているのが、このセルフケアです。私たち外部からのボランティアがたまに来てできることはしれています。むしろ日頃のケアであったり、つらい時に自分で対処できるということに価値があります。
一日目 ~ 宮城県 山元町 ~
まずはNPO法人「ささえ愛山元」。こちらのデイサービスの利用者さんと職員さんに向けて、お灸教室を行ないました。お灸教室では、実際に使っていただけるせんねん灸を箱詰めしたものと、今回のために用意したお灸の使い方やポイントを図示した冊子を、お配りしました。その配布物を元にメンバーがお灸の使用方法を説明しはじめると、聞いたことをメモされている様子も見られました。その後、個別に鍼灸治療も行ないました。
高齢者と介護職員ということもあって、腰や膝の痛などの不調を訴える方が多く診られました。前回も今回訪問時も、タイミング良く(?)、ぎっくり腰になったという職員さんもおられます。こういう急性期の痛みには1回の治療でもすっきり良くなることがあるので、腕の見せ所です。
二日目 ~ 宮城県 石巻市 ~
続いて、被災地障がい者センター石巻での小児鍼教室。訪問したのが平日の午前中ということもあり、今回はお母さんのみの参加となりました。まずはローラー鍼の使い方やポイントをご説明して、その後個別に治療も行ないました。鍼灸治療は皆さん初めてで、最初は少し緊張の様子でしたが、ローラー鍼やせんねん灸などからはじめて、鍼も受け入れていただけたようです。
その後、職員さんにも鍼灸治療を受けて頂きました。職員さんも地元の方で、被災されています。自らが被災され仮設住宅などで暮らされている中、あまりその苦労を見せることなく、こうして他の被災者のために働かれてもいます。
また、まわりに被災された方がいる中では、自分の話はしにくいようです。ご家族を亡くされた方、津波で家を流された方、逆にそこまで被害を受けなかった方、被災の程度や今の状況も様々です。まわりを気遣い、自分のことは後回しだったり、話し出せなかったりされています。それが私たちにはそっと伝えてくれることもあります。外部から来たボランティアだからこそ、話せることもあるようです。
三日目 ~ 宮城県 南三陸町 ~
最終日は、南三陸町にある「くつろぐはうす」での小児鍼教室です。こちらも訪問当初からお世話になっているNPO法人奏海の杜(かなみのもり)さんの呼び掛けにより、多くの親子さんに集まっていただきました。小さな集会所の様なところに5カ月の乳児から小学生までの子供たちが集まり、終始にぎやかな教室&治療室になりました。夜泣き、便秘、おねしょなど、症状は様々。子供の反応を見て、治療とセルフケア指導を行ないました。
震災直後はお子さんが一人でトイレに行けなくなったり、大声を上げられたり、不安定になられたというお話もお伺いしました。お子さんの不調もさることながら、そのご家族の苦労も多いことでしょう。ただでさえ苦労も多い子育てですが、被災地となればなおさらです。そんなお子さんやその家族が健康に安心して暮らすことができれば、被災地の未来への希望とつながるのではないかと思います。
後日、お世話になった関連団体の方より、この教室が好評だったという声を聞くことができました。またこれからも教室と鍼灸治療を軸に、鍼灸治療の魅力とセルフケアを伝える活動を続けていきたいと思います。