こんにちは。はり灸ライトグリーンの坂口友亮です。
今日は「はじめての福島学」の紹介です。
2015年3月11日-震災から4年を経た今年-に発行されたこの本、帯には「福島難しい、面倒くさいになってしまったあなたへ」とあります。“はじめての”という事は、この本は福島に関する専門知識を持っていない人に向けて書かれているのか…でも福島“学”と続いている。内容が難しいのでは…?そんな事を思いながら本書を手に取りました。
冒頭には「福島を知るための25の数字」として、25個の質問が並んでいます。いくつか紹介すると、
・震災前に福島県で暮らしていた人のうち、県外で暮らしている人の割合はどのくらい?
・福島県では年間1000万袋ほどつくられる県内産米の放射線について全量全袋検査を行っている。そのうち放射線量の法定基準値(1kgあたり100ベクレル)を超える袋はどれくらい?
・福島県の2013年観光客(=観光客入込数)は2010年に比べてどのくらい回復している?(何%)
・「3・11後の福島では中絶や流産は増えた」「3・11後の福島では離婚率が上がった」「3・11後の福島では合計特殊出生率が下がった」のうち、いくつ正しい?
・今も立ち入りができないエリア(=帰還困難区域)は、福島県全体の面積の何%ぐらい?
こういった質問に対して考えたことが無い方でも、ご自身が持っている福島へのイメージを元に「これくらい?」と考えてから読み進めると、内容がより分かりやすいと思います。
正直、私は読み進めていく中で「福島の現状」と「自分が福島に抱いているイメージ」のギャップに驚かされました。例えば、私は復興が遅れている部分ばかりに注目していたのですが、「復興が“早すぎた”弊害も大きい」と著者は述べています。
また目を引かれたのが、「放射線に対する漠然とした不安はあるが、どう判断していいか分からない」という様な意識を持つ「普通の人」が今後この問題をどう考えていけばよいか、という“物の考え方”についてでした。
本書の中で著者は、
・「ものさし」を持って
・「適切な反応」をし
・「科学的な前提にもとづく限定的な相対主義」に移行せよ
と主張しています。
こう聞くと「なんか難しそう…」と感じられるかもしれませんが、本書は「普通の人」を置き去りにした理論を展開しません。これら一つ一つに丁寧な解説がついています。
「ちょっと福島に興味あるけど専門知識も無いし」
「震災当初はニュースを追いかけていたけど、情報が多すぎて今どうなっているのかよくわからない」
「今さらだけど福島の今ってどうなってるの」
そんな「普通の人」に向けて、本書は書かれています。