東北の現状を大阪で聴く

舟橋寛延 はり灸レッド

 はり灸レンジャーとして初めて参加したポジティブ文化祭は、楽しい一日でした。新たな鍼灸師レンジャーも加わり、私たちの治療ブースは熱気に包まれたものです。

 治療の様子などは他のメンバーがすでに報告していますので、そちらにゆずり、私は当日、東北から参加した現地の方々から得たお話をご紹介します。

 最も関わりが深いと言って良い宮城県南三陸町の「奏海の杜」(かなみのもり)のスタッフDさんから伺った話。

 「南三陸町は人口流失が激しく、事業展開が容易ではない。人口の減少は統計に表れているよりもずっと多いと思う。特に若い世代が減っているのは深刻。」

 また、南三陸町はもとの中心地がかさ上げされ、もう以前とはまったく違う光景になっていると言います。私も1年半以上お邪魔していないので、想像しにくいです・・・。

 今後のボランティア治療の可能性としては、震災で大きな被害をこうむった高齢者施設が再建されていますので、そういった場所に顔を出すと喜ばれそうです。

 次に宮城県石巻市の「障がい者ベース石巻にょっきり団」のMさんとの会話。

 「中心になる障がい者メンバーで毎年、新年度はどんなことを活動していこうか、話し合っています」とのこと。

 石巻市は東日本大震災で最も亡くなった方の多い自治体です。その数は突出していて3千人を越えます。もともと宮城県で2番目に多い人口を抱える上、沿岸に街が分布していたのが災いしたと言えそうです。その被害の様子は、石巻市は市内にある日和山(ひよりやま)から沿岸部を一望できます。

 今後、ボランティア治療と同時に一種のスタディ・ツアーとして現地の方に案内してもらい、被災当時の様子と復興過程を教えてもらうのも有意義だと思います。

 3.11から間もなく まる7年になります。はり灸レンジャーの新しいメンバーの中には、震災直後の東北の様子を目撃していない人も増えています。漫然と現地を訪れても当時の様子はなかなか分かりません。地元で奮闘している方々の助けを得て、当時の話を伺い、そして現在の復興状況を重ね合わせることで、被災地のいまを立体的に理解できることでしょう。

 私たちのボランティア活動も、現地の方々の気持ちに応えながら、新たな形を模索していていきたいと考えています。

(舟橋)