はり灸レンジャー・グレーの鈴木一成です。
11月16日、名古屋市のウインクあいちにてNPO法人鍼灸地域支援ネット主催「鍼灸師・あマ指師のための傾聴セミナー」に行ってきました。「傾聴」というのは大体の意味は知っていましたが、普段あまり馴染みはありませんでした。しかしはり灸レンジャーの活動を通じて被災地でのメンタルケアについても学ばせて頂き、その重要性を感じるところでもありました。
「傾聴」という言葉を辞書で引くと「耳を傾けて熱心に聴くこと」と書いてありますが、カウンセリングの分野で「傾聴」はコミュニケーションスキルの一つとされています。相手の話したいことや伝えたいこと、また悩みや心の中に溜まっていることを丁寧に聴き、共感することで、相手は自分自身をより整理して理解し、良い結論や判断を導くことにつながります。そして今回のセミナーは鍼灸師・あマ指師を対象ですのでカウンセリングの手法を学ぶというよりは、施術中に患者さんが悩みや苦しみを訴えられたらどの様に対応すべきか、というものでした。
セミナーでは講義と演習を交えながら行われました。演習では鍼灸治療中の術者と患者の会話を例に挙げられ、術者の対応を検証しました。腰痛治療で通院している患者(女性)から自分の母が末期の胃癌であることを涙ながらに告白され、術者は言葉を失い戸惑ってしまう…術者は何かアドバイスできるのか、それともしない方が良いのか、患者は話を聴いてもらうだけでも幾らかストレスは解消されるのではないか…様々ない意見が出されディスカッションされました。
今までの自分を振り返ってみると、患者さんとの会話や対応に反省すべき点は多いと思います。患者さんが本当に伝えたいことを理解していなかったり、大切な会話を途中で切ってしまったり、一方的に勝手な解釈をしてしまったり…これからは傾聴の元の意味である「耳を傾けて熱心に聴く」ことから注意して始めてみたいと思います。
今回のセミナーは「傾聴」のほんの入り口にすぎないと感じました。この分野はとても奥深く、様々な研究がされていると思います。今後少しずつでも勉強してはり灸レンジャーの活動や普段の臨床に活用できたら良いと思います。